
応募は来ている。なのに、面接に人が来ない。
「選考が回らない」を解決した採用事例10選
応募は来ている。なのに採れない——このとき問題は、応募者ではなく選考の側にある。電話がつながらないまま2〜3日待たせ、本部を経由するあいだに面接日程が流れ、担当者は主業務の合間に応募者対応を抱え込む。応募のあとの実務を数字で速くした10社を、対応スピード・連絡手段・面接のやり方・見極め・入社手続きの順に並べた。前編「応募が来ない」の続きにあたる、選考編である。
選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例3,270件のうち、採用の「選考を回す」局面(応募後の対応スピード・日程調整・面接・見極め・入社手続き)の改善を扱い、数値成果が公開されている事例から、打ち手が重ならないように編集部が10本を選んだ(同一ベンダーは最大3本まで。別テーマの10選で取り上げた事例は除く。応募を集める局面は前編で扱い、入社後の定着は続編で扱う)。順位ではなく並列の「選」であり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。
登場サービスの提供企業へ、編集部がまとめてお取り次ぎします(次の画面で選択を外せます)。
01応募対応の2〜3日の遅れをなくして、採用数が140%増になった
株式会社スギ薬局 ・ 小売・EC ・ 従業員7,727名(連結)、店舗1,618店舗
1,618店舗のスギ薬局では、応募者対応がすべてコールセンター経由で、電話がつながらない応募者への対応が2〜3日遅れていた。面接日程調整をチャットボットに渡し、Web面接と店舗ごとの募集自動化を整えて、採用数は140%増、コールセンター人員は半減。応募が足りないのではなく「来た応募を待たせて逃していた」——この記事全体の出発点になる1本。
02本部経由をやめたら、面接までが5日早くなった
フジトランスポート株式会社 ・ 物流・運輸 ・ 従業員2,275人(単体)、2,887人(グループ)
従業員2,275名・全国70拠点のフジトランスポートでは、応募者対応が本部の人事労務部4名に集中し、24時間365日届く応募をさばききれなかった。各支店・グループ会社の担当者が本部を介さず応募者情報に直接アクセスできる運用に変え、応募から面接までのリードタイムは5日間短縮、採用率は前年同時期の1.65倍に。ボトルネックは応募数ではなく社内の動線だった1本。
03電話をLINEに変えたら、連絡の工数が70%減った
株式会社カスタマーリレーションテレマーケティング ・ IT・ソフトウェア
コールセンター運営のカスタマーリレーションテレマーケティングでは、学生への採用連絡が電話中心で、つながらない相手への面接日程案内に長い時間を取られ、連絡先もExcelに分散していた。学生との連絡をLINEに一元化して段階的に移行し、連絡コストは70%削減、電話対応の工数は50%削減、返信の速さと返答率も上がった。「つながらない手段で連絡し続ける」のをやめた1本。
LINEの採用管理ツール導入で連絡コスト70%削減、学生との連絡を一元管理この事例の詳細を読む →04応募前の質問に自動で答えたら、成約率が他媒体の2倍になった
株式会社モード・プランニング・ジャパン ・ 人材サービス
求人情報サイトを運営するモード・プランニング・ジャパンでは、応募者からの問い合わせ対応が課題だった。サイトにチャットボットを置いて疑問にその場で自動回答するようにしたところ、チャット経由の成約率は他の集客媒体の約2倍に。応募のひとつ手前にある「聞きたいことがあるが聞けない」を拾うと、その後の歩留まりが変わることを示す1本。
05面接を録画に変えたら、30分が15分になり基準もそろった
株式会社松竹マルチプレックスシアターズ ・ 小売・EC ・ 従業員1,760名(社員260名、アルバイト1,500名)
映画館29館を運営する松竹マルチプレックスシアターズでは、コロナ禍で面接待機者が100名を超え、現場マネージャーの対面面接の負担と、面接官ごとの採用基準のばらつきが課題だった。録画面接を3店舗で試してから全劇場に展開し、面接時間は30分から15分に、基準も平準化。「全員に同じ時間で会う」ことをやめて、会うべき人に時間を使う1本。
06「経験者」の条件を外したら、未経験者が3ヶ月で目標を達成した
株式会社デイリースポーツ案内広告社 ・ その他 ・ 従業員127名(取材時)
従業員127名のデイリースポーツ案内広告社では、経験やスキルで選んでもカルチャーが合わない採用のミスマッチが続き、面接の稼働も重かった。経験者という条件を取り払い、調整力・問題解決力などのコンピテンシー診断で候補者を絞る基準に変更。広告業界未経験の採用者が、通常半年かかる営業目標を入社3ヶ月で達成した。速くするだけでなく「何を見るか」を変えた1本。
コンピテンシー基準の採用で、業界未経験者が入社3ヶ月で営業目標達成この事例の詳細を読む →07選考の運用を内製化して、最短2週間で内定が出るようになった
株式会社大創産業 ・ 小売・EC ・ 従業員5,000人以上
従業員5,000人以上の大創産業(ダイソー)では、採用システムの運用を外部委託しており、設定変更のたびに依頼と待ちが発生、選考のスピードを自分たちで上げられなかった。約2ヶ月で運用を内製化し、選考の歩留まりをダッシュボードで確認しながらLINEで学生と直接やりとりする体制に。選考は最短2週間で内定まで到達。「速くしたければ、自分で触れるようにする」という運用の1本。
採用管理システムの内製化により、最短2週間の迅速な選考と学生満足度向上を実現この事例の詳細を読む →08紙10〜20種類の入社手続きが、廃止された
ヤマト運輸株式会社 ・ 物流・運輸 ・ 従業員165,420名(2024年3月31日時点)
従業員165,420名のヤマト運輸では、月約1,000名の入社のたびに1人あたり10〜20種類の紙書類が発生し、営業所長がExcelへ転記して主管支店経由で本社に登録する多重の事務が現場を圧迫していた。入社申請をオンライン化して必要書類を自動選定し、基幹システムに自動登録。事務工数は1時間以上から約30分に半減し、紙書類は廃止。ここからの3本は「内定のあとの紙の山」——選考の最後の詰まりを解く1本目。
年間12,000人の入社手続きをデジタル化し、事務工数を1時間超から30分に半減この事例の詳細を読む →09年9,000名の入社手続きを電子化して、約5,000万円が浮いた
パーソルホールディングス株式会社 ・ 人材サービス ・ 従業員78,119名(連結)
グループ約30社・従業員78,119名のパーソルホールディングスでは、年間9,000名の入社・契約更新手続きが紙で回り、印刷と郵送の工数・費用が膨らんでいた。電子契約書・誓約書の提出からマイナンバー申請までを1つのフローに統一し、約500拠点で運用。約2年で約5,000万円相当のコスト削減、入社手続きは1人あたり約30分短縮。人材サービス会社自身が「採用のあとの紙」を捨てた1本。
10入社手続きが132分から47分になり、入力ミスが消えた
ヤマハ発動機ビズパートナー株式会社 ・ 製造業 ・ 従業員54,026名(連結)
ヤマハ発動機グループの人事業務を担うヤマハ発動機ビズパートナーでは、入社手続きの処理が1名あたり132分かかり、郵送費も1件740円発生していた。手続きを電子化して処理時間は47分(約65%減)、郵送コストはゼロ、転記の入力ミスは完全に解消。利用した内定者の90%超が「簡単だった」と回答した。入社手続きは内定者が最初に体験する「その会社の仕事ぶり」——締めの1本。
ヤマハ発動機ビズパートナー:入社手続電子化で工数65%削減この事例の詳細を読む →選考のボトルネックは、応募者ではなく社内にあった
10本を並べると、選考が遅くなる原因はどれも社内にある——コールセンター経由(スギ薬局)、本部経由(フジトランスポート)、外部委託(大創産業)、つながらない電話(カスタマーリレーションテレマーケティング)。速くした会社は共通して、応募者と担当者の「間に挟まっていたもの」を外した。面接そのものも聖域ではない。録画に変えれば時間は半分になり基準はそろい(松竹マルチプレックスシアターズ)、見る場所を経験からコンピテンシーに変えればミスマッチが減る(デイリースポーツ案内広告社)。そして選考は内定通知で終わらない。紙10〜20種類の入社手続きは、内定者が最初に体験するその会社の仕事ぶりだ(ヤマト運輸・パーソルホールディングス・ヤマハ発動機ビズパートナー)。次の一歩は、直近の応募10件について「応募から初回連絡まで」「連絡から面接まで」の時間を実測すること。日単位の数字が出た区間に、この10本の型が当てはまる。応募を集める打ち手は前編で、入社後の定着は続編で扱う。
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