
「早く帰ろう」で消える残業は、少ない。
残業を減らした事例10選
残業を減らせ、とはどの会社でも言われる。だが「早く帰ろう」の呼びかけで消える残業は少ない。実際に残業が減った事例を並べて読むと、消えたのは気合ではなく、特定の仕事だ——探す仕事、写す仕事、整理する仕事、締め日の山。残業を数字で減らした10社が、どの仕事を消したのか。月40時間減から年9,600時間削減まで、成果の数字で並べた。労務の話は出てこない。出てくるのは、業務の話だけだ。
選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例3,072件のうち、残業・退社時間の改善が課題または成果として明記され、数値成果が公開されている事例から、残業の発生源(現場・事務・繁忙期・体力仕事)が重ならないように編集部が10本を選んだ(同一ベンダーは最大2本まで。別テーマの10選で取り上げた事例は除く)。順位ではなく並列の「選」であり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。
登場サービスの提供企業へ、編集部がまとめてお取り次ぎします(次の画面で選択を外せます)。
01月40〜50時間の残業が10時間以上減り、売上は112%になった
株式会社カスケホーム ・ 建設・不動産 ・ 従業員規模不明、年間工事件数3500件、6店舗展開
年間3,500件の工事を手がけるカスケホームでは、協力会社とのやりとりがファックスと電話中心で、現場から事務所に戻らないと状況が分からなかった。施工から入金までを一つのクラウドに載せ、残業は月40〜50時間から10時間以上削減、リフォーム売上は前年比112%の21億円に。残業を減らして業績も伸びた——両立できることを最初に示す1本。
リフォーム会社の業務一元化でファックス業務を削減、残業時間を月40〜50時間から10時間以上削減この事例の詳細を読む →02販売管理を替えたら、残業が年間9,600時間消えた
日精機工株式会社 ・ 小売・EC ・ 従業員規模不明・北海道札幌市本社、道内6支店、道外1営業所
北海道の機械工具商社・日精機工では、老朽化したオンプレミスの販売管理システムが1明細ごとの伝票計上を強い、外出先からは使えず、バックアップは外付けハードディスク頼みだった。クラウドの販売管理に刷新して業務フローも標準化し、残業は年間9,600時間の削減。「古いシステムに合わせて働く」ことが残業の発生源だったと分かる、この10選最大の数字。
0322時までの繁忙期が、定時帰宅になった
株式会社TTS ・ 小売・EC
コンロなど輸入商品を扱うTTSでは、ベテラン退職後に未経験者が物流管理を引き継ぎ、「いつ入るの?」という営業からの電話・メールが1日数十件、繁忙期は22時までの残業が続いた。貨物の動静を全員が見られる仕組みに変えて問い合わせは数件に減り、繁忙期でも定時帰宅に。残業の正体が「答える仕事」だった1本。
貿易知識ゼロから、Shippio Cargoで電話・メール激減、残業も22時→定時に短縮この事例の詳細を読む →04写真整理をやめたら、退社が20時から18時台になった
東洋冷熱工業株式会社 ・ 建設・不動産 ・ 従業員規模不明(施工管理担当10名)
空調設備工事の東洋冷熱工業では、大規模現場で3,000枚を超える工事写真を撮影し、タブレットからPCへ取り込んで整理する作業が残業の主因になっていた。撮影から整理までをアプリで完結させ、退社時間は20時頃から18時台に。残業対策の第一歩は「何の作業で遅くなっているか」を特定することだと教える1本。
写真管理の自動化で残業を削減、18時台退社を実現した空調設備工事会社の事例この事例の詳細を読む →05採用繁忙期の残業86時間が、15時間になった
オーエスジー株式会社 ・ 製造業 ・ 大企業
切削工具大手オーエスジーの採用チームでは、採用管理システムの設定作業と学生情報のExcel管理が重く、3〜4月の繁忙期には担当2名の残業が計86時間に達していた。採用管理を運用しやすい仕組みに切り替えて繁忙期残業は15時間(83%減)に。毎年来ると分かっている山は、来る前に崩せることを示す1本。
採用管理システム導入で採用担当の残業83%削減、個別対応で内定承諾率向上この事例の詳細を読む →06シフト表づくりの15時間が、9時間になった
株式会社ジャックス ・ 金融・保険 ・ 従業員約1,500名
従業員約1,500名のジャックスでは、各拠点の担当者が手作業でシフトを組み、毎月15時間以上かかって就業時間内に終わらず、残業の発生源になっていた。シフト自動作成の仕組みを入れて作成時間は9時間(約40%減)に。「管理のための仕事」が現場の残業をつくっていた、事務方の1本。
株式会社ジャックス、シフト自動作成で月15時間→9時間に短縮、残業削減を実現この事例の詳細を読む →07契約書を探す半日が5分になり、総務の残業が減った
株式会社マーキュリー ・ その他 ・ 3,046名(2018年5月時点)
人材派遣を展開するマーキュリーでは、事業成長で契約書が急増し、営業からの問い合わせのたびに紙とExcelから探して半日〜1日。それが総務部門の残業につながっていた。契約書を検索できる管理システムに載せ替えて確認は5分に。残業の内訳に必ずある「探す時間」を狙い撃ちした1本。
急成長企業の契約書管理を5分で検索できるシステムに効率化、残業削減を実現この事例の詳細を読む →08理事会前日の夜間残業が、資料の印刷ごとなくなった
学校法人東北学院 ・ 教育 ・ 大学(幼稚園・中学校・高校・大学・法人部門を有する学校法人)
学校法人東北学院では、月2回の常務理事会のために平均100ページ×35名分を印刷し、事務局は前日夜まで残業して資料を準備していた。会議をペーパーレス化して印刷・丁合の作業自体をなくし、3年間で紙約31万枚、年間コピー代は150万円から15万円(90%減)に。「会議の前の夜」を取り戻した1本。
09月次集計の残業が、二重入力ごと解消した
IDEC株式会社 ・ 製造業 ・ グローバル企業(複数の国内外拠点)
制御機器大手IDECでは、クレーム管理の旧システムが営業システムと分断され、担当者は同じ情報を二重入力し、月次集計のたびに残業が発生していた。システムを連携させて集計を自動化し、月次集計業務の残業は解消、初回回答も95%以上が5日以内に。「写す仕事」と「集計する仕事」が締め日の残業をつくっていた1本。
10月12トンの手作業が1/3になり、残業がほぼゼロになった
導入企業(非公開) ・ 医療・介護
医療廃棄物のリサイクル処理を担うこの現場では、月12〜14トンのプラスチック容器のラベル剥離・キャップ除去がすべて手作業で、繁忙期の残業の原因だった。剥離機を導入して処理時間は約1/3になり、年間を通して残業はほぼ発生しなくなった。デスクワークだけでなく、体を使う現場の残業も機械で消せることを示す、締めの1本。
消えたのは残業ではなく、残業を生んでいた仕事だった
10本のどれも、労務施策——ノー残業デーや声かけ——の話をしていない。消えたのは特定の仕事だ。探す(マーキュリー)、写す・集計する(IDEC)、整理する(東洋冷熱工業)、印刷して配る(東北学院)、答える(TTS)、そして手で剥がす(医療廃棄物処理)。型は3つある。毎日の作業を削る型、毎年来る繁忙期の山を崩す型(オーエスジー・ジャックス)、体力仕事を機械に渡す型。そしてカスケホームと日精機工が示すように、残業の削減は業績と交換ではない——むしろ同じ施策から両方が出ている。次の一歩は、残業時間の合計ではなく内訳を、仕事の動詞で書き出すことだ。「何時間残業したか」ではなく「何をして遅くなったか」。動詞が特定できた残業は、この10本のどれかの型で消せる可能性が高い。
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