
求人広告を増やさずに、応募は増えた。
「応募が来ない」を解いた採用事例10選
求人を出しても応募が来ない——採用の悩みは、まずこの入口から始まる。だが応募を実際に増やした10社を並べて読むと、誰も求人広告を増やしていない。やったことは2つに分かれる。自社の採用サイトを「見つかる場所」に作り直すことと、待つのをやめて自分から声をかけに行くことだ。応募が昨対比350%増になった約19,000名の小売チェーンから、8名を採用した従業員25名のスタートアップまで、応募を集める打ち手だけに絞って、成果の数字で並べた。
選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例3,270件のうち、採用の「応募を集める」局面(採用サイト・母集団形成・スカウト)の改善を扱い、数値成果が公開されている事例から、打ち手と業種が重ならないように編集部が10本を選んだ(同一ベンダーは最大3本まで。別テーマの10選で取り上げた事例、部材・工法の「採用」など語だけが一致する事例は除く。選考のスピードと入社後の定着は本記事の範囲外で、別記事で扱う)。順位ではなく並列の「選」であり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。
登場サービスの提供企業へ、編集部がまとめてお取り次ぎします(次の画面で選択を外せます)。
01自社の採用サイトを軸にしたら、応募が昨対比350%増になった
イオン北海道株式会社 ・ 小売・EC ・ 従業員19,053名(正社員2,999名)
従業員19,053名・167店舗のイオン北海道では、経営統合で複数の採用管理システムが並立し、採用効率と応募者数の両方が課題だった。9つの採用管理システムを比較して一本化し、自社採用サイトを軸に検索対策と地域求人メディアの連携を強化。応募数は昨対比350%増、採用サイト経由の採用率は50%前後と、求人メディア経由(20〜30%)を上回った。「媒体に出す」から「自社で集める」への転換を最初に示す1本。
02有料媒体頼みをやめて、自社サイト経由の応募が2.5倍になった
株式会社鳥貴族 ・ 飲食・食品 ・ 従業員9,902名(グループ全体・パート・アルバイト含む)
直営654店舗の鳥貴族では、コロナ禍明けの増員局面で有料求人メディアの出稿費用が見合わず、応募単価・採用単価が悪化していた。自社の採用ホームページを刷新し、応募者対応と面接調整をチャットボットで自動化して、ホームページ経由の応募者は2.5倍に。「借りた売り場」で払い続けるか、「自前の売り場」を育てるか——飲食チェーンの分岐点を示す1本。
採用ホームページ強化でホームページ経由応募者2.5倍増、有料求人メディア依存から脱却この事例の詳細を読む →03自社サイトで通年募集に変えたら、応募が3倍になった
株式会社ウエスト ・ 飲食・食品 ・ 従業員259名、店舗数180店舗(2022年10月時点)
従業員259名・180店舗のウエストでは、応募の減少を有料媒体への出稿で埋め続け、広告費が膨らんでいた。急ぎでない求人は自社採用サイトで通年掲載し、急ぎの求人だけ有料媒体を使う配分に転換。求人原稿も学生・主婦・シニアといったターゲット別、うどん・焼肉といった業態別に書き分けて、応募数は約3倍、応募者対応も平均7〜8時間速くなった。「出しっぱなしの求人」をやめた1本。
04採用サイトを作り直したら、応募が300から550になった
秀英会 ・ 教育
教育事業を運営する秀英会では、Webの求人対策が手薄で応募数が伸びなかった。求人検索を意識した設計でホームページを全面リニューアルし、採用に特化したサイト構成に変えたところ、求人応募数は300から550に増加。仕事内容も待遇も変えていない——「見つけてもらい方」だけで応募がほぼ倍になることを示す1本。
ホームページリニューアルとWEB施策統合で応募数が300から550に増加この事例の詳細を読む →05採用サイトを測って直したら、応募が前年比25%増えた
セイコーエプソン株式会社 ・ 製造業
セイコーエプソンでは、採用サイトをどう直すべきか、仮説はあってもデータでの検証ができておらず、デザインの意思決定も感覚に頼りがちだった。ABテストを導入してインターンシップページの表記とリンクを検証し、エントリーページへの遷移率は30%増、クリック数は約2倍、年間の採用応募数は前年比25%増に。「作り直す」より「測って直す」——サイト改善の順序を示す1本。
06紹介会社頼みだった採用が、自社で10倍獲れるようになった
ウイングアーク1st株式会社 ・ IT・ソフトウェア ・ 従業員連結799人/単体705人(2023年2月末現在)
従業員705名(単体)のウイングアーク1stでは、新卒エンジニア採用が人材紹介に100%依存し、競争激化のなか自力で採る体制がなかった。理系学生のダイレクトスカウトに切り替え、研究内容に沿った文面・カジュアル面談・CTOセッションを重ねて、自社アプローチでの有効応募は前年比約10倍、エンジニア上位層9名を採用、スカウト承諾率は61.6%。ここからは「待つのをやめた」5社——その転換がいちばん大きく出た1本。
LabBase就職導入でエンジニア上位層9名採用。初年度で自社獲得が前年対比10倍に成功この事例の詳細を読む →07現場エンジニアがスカウトに加わったら、承諾率が50%になった
オムロン株式会社 ・ 製造業 ・ 従業員26,614名
従業員26,614名のオムロンでも、CAE・ロボティクスなどニッチな技術領域は「待ち」の採用では応募が集まらなかった。人事が学生リストを作り、現場エンジニアが研究内容を精査してマッチ度を評価、その中身をスカウト文面に反映する体制を組んで、承諾率は50%——特定領域では100%に。スカウトの成否を分けるのは送信数ではなく「なぜあなたか」を書けるかどうか、と示す1本。
ニッチな技術領域の優秀層採用をスカウト型に転換、承諾率50%を実現この事例の詳細を読む →08学生が知らない職種に、スカウトの52%が応じた
沢井製薬株式会社 ・ 医療・介護 ・ 従業員2,849名
従業員2,849名の沢井製薬では、増産体制の強化に生産・信頼性保証の人材が必要だったが、学生に馴染みのない職種ゆえ応募が集まりにくかった。理系学生への個別スカウトと、平日昼間開催・アーカイブ配信つきの月2回セミナーを組み合わせ、トライアル期間のスカウト承諾率は52%。従来接点のなかった地方国公立大学からの採用も実現した。「知られていない仕事」は待っていても検索されない、と教える1本。
LabBaseで生産・品質職の母集団を拡大、地方国公立大からの採用も実現この事例の詳細を読む →09採れなかったITエンジニアを、自動スカウトで採れるようになった
株式会社Cmatrix ・ IT・ソフトウェア ・ 従業員10〜29人
従業員10〜29人のIT企業Cmatrixでは、使っていた外資系の採用サービスでは希望する人数のITエンジニアを採れずにいた。条件に合う人材へ自動でスカウトを送る仕組みに切り替え、フォロー機能も併用して、難度の高い正社員エンジニアの採用に成功。業務委託のプロ人材は1年弱で10名以上を確保し、案件受注が安定した。「採用チャネルを変える」だけで結果が変わることもある1本。
ITエンジニア採用の難易度を克服、スカウトプラスで正社員採用に成功・プロ人材は1年弱で10名以上採用この事例の詳細を読む →10従業員25名のスタートアップが、8名を採用できた
株式会社ぽらりす ・ 金融・保険 ・ 従業員25名(取材時)
従業員25名のぽらりすでは、採用予算が限られ、担当者も複数業務との掛け持ちだった。定額制のスカウト型サービスで求人票と文面を何度も書き直し、会社の魅力が伝わる画像を増やし、スカウトは1通ずつカスタマイズ。応募は約30%増え、8名の採用に至った。予算ではなく試行回数で戦う——会社の小ささが応募の少なさの言い訳にならないことを示す、締めの1本。
スタートアップ企業がミイダスで8名採用成功、求人内容の柔軟な変更と画像工夫で応募30%増この事例の詳細を読む →「応募が来ない」の正体は、見つからないか、知られていないか
10本の打ち手は、きれいに2系統に分かれる。前半の5社は、自社の採用サイトを「見つかる場所」にした(イオン北海道・鳥貴族・ウエスト・秀英会・セイコーエプソン)。共通点は、有料媒体への出稿を増やすのではなく、自前の入口を整えて通年で開けておくこと。入口が自前になると、原稿の書き分けもABテストも自分の手でできるようになり、改善が積み上がる。後半の5社は、待つのをやめて自分から声をかけた(ウイングアーク1st・オムロン・沢井製薬・Cmatrix・ぽらりす)。知られていない会社や職種は、どれだけ入口を磨いても検索されない——だから探しに行く。そして送信数より「なぜあなたか」が承諾率を決める。次の一歩は、自社の「応募が来ない」を切り分けることだ。求職者になったつもりで検索して、自社の求人が出てくるか。出てくるなら入口を直す型、出てこないなら声をかけに行く型。選考のスピードと入社後の定着は、続く記事で扱う。
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