連載
事例解体新書
1本の事例では分からないことを、2,501件の横断から解体して書く連載。
6 件を掲載
新しい仕組みを、現場にどう使ってもらったのか
導入事例の主役は、たいてい「何を入れたか」と「どれだけ変わったか」だ。だがその間には、記事の脇に数行だけ書かれる工程がある——現場に使ってもらう、という工程だ。今のやり方で仕事は回っている。新しい道具は、慣れるまで仕事を遅くする。この壁を、実際に導入した会社たちはどう越えたのか。事例本文の導入・定着のくだりだけを拾って横断すると、対応はおおまかに4つに分かれていた。
住宅リフォームの現場と、海を渡る貨物。「見に行かないと分からない」は同じ病か
片方は、職人と協力会社が動く住宅リフォームの現場。もう片方は、船会社と海外法人がまたがる国際物流。扱うものも、業界の言葉も、まるで違う。それなのに2つの事例の課題文は、奇妙に似たことを言っている——知りたい情報は確かにどこかにあるのに、そこへ「戻る」「電話する」「メールを数往復する」しかない。業種は違っても、情報が途切れる場所は同じなのか。2つの現場を突き合わせて、共通する構造と、互いの業界から借りられる工夫を読む。
「転記をなくしたい」に、会社はどんな手を打ったのか
タイムカードの時刻をExcelに打ち直す。届いた請求書をシステムに入力する。あるシステムの画面を見ながら、別のシステムに同じ数字を入れる——「手作業の転記」は、当サイトでもっとも多くの事例に付く悩みのひとつだ。そして事例を並べて読むと、会社たちが打った手は一種類ではない。業務のどこを変えたかで分けると、道はおおまかに4本ある。転記に悩む人が「自社はどの道から調べるか」を考えるための地図として、代表的な事例とともに整理した。
「あの人しか分からない」——属人化に悩んだ会社たちの記録
今回は、成功の話をしない。導入事例の前半分——「導入前」の記述だけを読む。そこに残っていたのは、業種も規模も違う会社たちが驚くほど同じ言葉で語る、日本の職場の記録である。担当者が休むと止まる。辞めて初めて分かる。やり方が人数分ある。会社の記憶が個人のExcelにある。あなたの職場の症状に、ここで名前が付くかもしれない。
月300枚の請求書と、現場監督の「消えた3日間」
請求書業務の改善事例を並べて読むと、成果の主語はたいてい経理だ。処理の工数、ペーパーレス化率、保管の手間。ところが佐藤工業株式会社の事例では、経理の月50時間削減と並んで、現場監督の査定業務が「3〜5日からほぼ半日に」という数字が出てくる。同じ請求書の電子化なのに、なぜこの事例では現場の時間が戻ったのか。同じ悩みを扱う周囲の事例と照らしながら読む。
紙を「読む」会社と、「なくす」会社。道が分かれた場所はどこか
紙の書類とハンコの悩みは、当サイトに集まる事例に繰り返し現れる。そして並べて読むと、気づくことがある——同じ悩みなのに、行き先が一つではないのだ。日清食品ホールディングスは、年間30万枚の紙の請求書を「読む機械」(AI-OCR)に任せた。社会福祉法人ふらいは、月15時間を奪っていた契約書の紙そのものを「なくす契約」(電子契約)に置き換えた。規模も業種もまるで違うが、出発点の悩みは同じで、打ち手はきれいに割れている。だから、この2本を突き合わせる。どちらが正解かを決めるためではない。同じ悩みを抱えた会社が「自社はどちらの道に近いのか」を見極めるための、分かれ目を探しに行く。