
従業員20名以下でも、ここまで変わった。
小さな会社のDX事例10選
DXの事例記事に出てくるのは、たいてい大企業だ。だが当サイトの事例を従業員数で絞ると、5名・8名・10名の会社が確かに載っている。社長が調理場に立つ飲食店、代表と現場監督7名の工務店、5名で回す印刷販促——専任のIT担当などいない会社が、何を入れて、何がどれだけ変わったのか。従業員20名以下と確認できる会社だけを10社、成果の数字で並べた。読みどころは投資額の小ささではない。小さな会社ほど、変えた一点がすぐ数字に出ることだ。
選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例3,072件のうち、会社全体の従業員数が20名以下と記載から確認できる事例(部門人数のみの記載や大企業の一部門の事例は除外)で、数値成果が公開されているものから、業種と業務が重ならないように編集部が10本を選んだ(同一ベンダーは最大2本まで。別テーマの10選で取り上げた事例は除く)。順位ではなく並列の「選」であり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。
登場サービスの提供企業へ、編集部がまとめてお取り次ぎします(次の画面で選択を外せます)。
018名の工務店が、見積もりを3分の2の時間で出すようになった
株式会社玄翁 ・ 建設・不動産 ・ 従業員8名(代表取締役1名と現場監督7名)
代表取締役1名と現場監督7名の玄翁では、現場が増えるほど資料の置き場所が監督ごとにバラバラになり、見積もりでは入力ミスと計算間違いが粗利予測を曇らせていた。施工管理と見積もり・粗利管理をアプリに集約し、見積もり作成時間は以前の3分の2に。8名の会社の「全員が現場」という強みを、情報の散らかりが打ち消していたことが分かる1本。
ANDPAD導入で見積もり作成時間を3分の2に削減、粗利率向上を実現この事例の詳細を読む →02USBの中にあった会社の記憶が、残業ごと半分になった
株式会社ビーバーリフォーム ・ 建設・不動産 ・ 従業員20名(藤井寺店13名、東三国店7名)
従業員20名のビーバーリフォームでは、顧客情報や工事資料を紙と各自のUSBで管理し、退職時に情報が消えたこともあった。現場管理職の年間残業は250〜300時間。情報をクラウドに集約して協力会社ともつなぎ、残業は150時間へ半減した。小さな会社の情報消失リスク——人が辞めるとデータも辞める——への正面からの一手。
ペーパーレス化と残業時間半減、協力会社へのDX浸透で現場効率を向上この事例の詳細を読む →03社長が、タイムカードの計算をやめて調理場に戻った
株式会社梅林 ・ 飲食・食品 ・ 従業員約20名
飲食業の梅林では、代表取締役がタイムカードの打刻時刻をExcelに手入力し、打刻忘れの確認やシフト表との照合に追われて、本業の調理との両立が難しくなっていた。打刻をデータ化して自動集計に変え、事務作業は50%以上削減。小さな会社のDXの原点——「社長の時間を本業に返す」を最短距離でやった1本。
04給与明細の3時間が、10分になった
株式会社山下商会 ・ 小売・EC ・ 11店舗展開
従業員11名の山下商会では、給与明細をドットプリンターで印字し、仕分けして手渡しする作業に毎月3時間と専用用紙のコストがかかっていた。明細をWeb化して従業員が自分で確認する形にし、処理時間は3時間から10分に。月1回の定型業務こそ、小さな会社が最初に手放せる仕事だと教えてくれる1本。
055名の会社が、印刷の手間を8分の1にして販促費率も下げた
株式会社髙瀬ホールディングス ・ 小売・EC ・ 5店舗展開
従業員5名の髙瀬ホールディングスでは、街の印刷屋との校正・対面対応に手間がかかり、品質にも満足できず、結果的に高くついていた。ネット印刷に切り替えて手間とコストは8分の1、販促費率は年商の2%から1.5〜1.8%へ、駅貼りポスター施策でホームページ閲覧は3倍に。発注のやり方を変えるだけでも数字が動く、最小構成のDX。
クリーニング店がラクスル導入で印刷の手間やコストを8分の1に削減この事例の詳細を読む →0614名で、月2,000件の出荷が7,500件になった
株式会社ALFOR ・ 飲食・食品 ・ 従業員14名
食品ECのALFORは、1日45個の自社梱包から始まったが、販売が伸びるほど発送作業が本業を圧迫した。梱包・発送を一括のロジスティクスサービスに載せ替えて月80時間以上を削減し、出荷量は月2,000件から7,500件(3.75倍)へ。自前でやらないと決めることも、小さな会社の立派な打ち手だと示す1本。
07月50件の誤出荷が、5件になった
株式会社マキノ ・ 物流・運輸 ・ 従業員15名(正社員)
従業員15名の物流会社マキノでは、誤出荷が月平均50件発生し、人の注意力による対策は限界で、荷主からも改善を求められていた。バーコード検品システムを入れて誤出荷は約90%減の月5件に。人数が少ない会社ほど「ミスの後始末」が効く——その後始末ごと消した1本。
08外注していた集客を、週30分の内製に変えた
株式会社花菱 ・ 小売・EC ・ 全国18店舗展開
従業員18名の花菱では、MEO対策やSNS運用を外部業者に頼み、費用がかさむ一方でノウハウは社内に残らなかった。運用ツールを入れて内製化し、MEO対策の対応は毎週30分に収まり、外部委託費も削減。小さな会社の「外注か内製か」に、ツールで内製という第三の答えを出した1本。
限られた時間でMEO対策の内製化を実現|オーダースーツ18店舗の運用体制構築この事例の詳細を読む →09応募1件の採用が、20〜30件になった
株式会社リットシティ ・ IT・ソフトウェア ・ 10~29人
従業員10名のリットシティでは、ハローワークと採用ページからの応募がほとんど集まらず、メール対応の管理も煩雑だった。アセスメント型の採用サービスに切り替えて応募数は1件から20〜30件へ、採用業務そのものも効率化。知名度で戦えない小さな会社が、採用の土俵ごと変えた1本。
ミイダス導入で応募数が20~30倍に増加、採用業務も効率化した中小IT企業の事例この事例の詳細を読む →105名のサロンで、体験客の9割が通うようになった
Ellena(エレーナ) ・ その他 ・ スタッフ5名
5名で運営するエステサロンEllenaは、施術中の会話から30代女性のフェムケアの悩みに気づき、対応できるメニューがなかった。専用機器を導入して悩みに応える形にし、体験から回数券購入への転換率は9割、スタッフの離職はゼロに。設備投資が「聞けていた悩み」と噛み合ったときの威力を示す、締めの1本。
小さな会社ほど、一点が全体を動かす
10本を並べて見えるのは、小さな会社のDXが「全社改革」ではないことだ。タイムカード(梅林)、給与明細(山下商会)、検品(マキノ)、発送(ALFOR)——変えたのはどれも一点で、しかもその一点が社長の時間、残業、誤出荷、出荷能力という会社全体の数字を動かしている。人数が少ないほど、一つの作業が全体に占める割合は大きい。だから効きも速い。もう一つの共通点は、始まりが「困りごとの言葉」だったことだ。USBが消えた、社長が調理に戻れない、誤出荷が月50件——ツール名からではなく、痛みから始まっている。次の一歩は、自社でいちばん頻繁に繰り返している手作業を一つだけ選ぶこと。20名以下なら、その一つで会社が変わる可能性は、この10本が証明している。
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