
英語ができる社員がいなくても、海外とは仕事ができた。
翻訳・通訳の事例10選
海外の案件は、英語ができるあの人に回る。通訳を頼むと見積もりが高いから、海外の商談は腰が引ける。英語ができる人をもう一人採ろうか迷っている。この10本の会社も、出発点は同じだった。横河電機は海外拠点との会議を日本語でやり、あとから翻訳して配っていた。土浦市は外国語の案内を作るたびに、外国語を話せる職員を探していた。どの会社も社員の語学力を上げたのではなく、翻訳と通訳が発生する場所を人から仕組みに移した。通訳の見積もり50万円が15万円に、35言語の許認可書類の翻訳費が3分の1に、外国人の閲覧が7倍に。会議、書類、案内、店頭まで、英語が発生する場面ごとに10社の数字を並べた。
選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例5,469件のうち、翻訳・通訳・多言語対応を主な施策とし、数値成果が公開されている16件から、英語が発生する場面(拠点間会議、展示会、国際イベント、社内の日常連絡、サポート文書、取扱説明書、許認可書類、窓口案内、運行情報、店頭接客)と業種が重ならないように編集部が10本を選んだ(同一ベンダーは最大3本まで)。社員向けの英語研修で語学力を上げた事例は、翻訳・通訳を仕組みに移した事例ではないため対象から外した。順位ではなく並列の「選」であり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。
登場サービスの提供企業へ、編集部がまとめてお取り次ぎします(次の画面で選択を外せます)。
01あとから翻訳して送る会議をやめ、通訳費は4割減った
横河電機株式会社 ・ 製造業 ・ 従業員18,107名(連結)
横河電機の人財総務本部では、海外拠点との会議を日本語で開いたあと、各言語に翻訳して伝えていた。情報が届くまでに時差が生まれ、拠点間に距離が生じていたが、通訳を入れるにはコストが高かった。メンバーの提案でオンライン通訳を導入し、業界の専門知識を持つ通訳者を入れて、拠点間で同時に会議を開く形に変えた。通訳コストは従来比で約4割減。海外拠点を含めたキックオフが本格的に開けるようになり、海外拠点から発案するグローバル企画が増えた。翻訳を待たせていた側から、企画が返ってきた。
グローバル拠点間の会議を約4割コストカットで実現この事例の詳細を読む →02急な通訳の見積もり50万円が、15万円になった
PROFET AI TECHNOLOGY Co. Ltd. ・ 製造業
PROFET AI TECHNOLOGYのマーケティング部は、日本国内のビジネスイベントで急遽通訳が必要になった。複数社から取った見積もりは高額で、現地対応ではブース設置とスタッフ派遣で運営コストが膨らむ。オンラインの同時通訳に切り替え、ブースも派遣もなしで専門知識を持つ通訳者を入れた。通訳費用は50万円から15万円に。参加者からは聞き取りやすく、リモートでも遅延がなかったと評価され、設営がない分だけ現場の混雑も抑えられた。通訳の値段は、ブースの値段だった。
03通訳ブースを建てず、参加者は100名を超えた
熊本大学 ・ 教育 ・ 国立大学
熊本大学の研究企画推進部門は、国際研究イベントで日本語と英語の両対応が必要だった。現地通訳は機材のレンタル費が高く、音声の被りも起きていた。会場開催では参加人数に上限があり、海外からの参加も難しい。オンライン同時通訳を入れ、Zoomの中でボタン一つで言語を切り替える形にして、研究分野に知見のある通訳者を割り当てた。コストは80%削減、参加者は100名以上に広がった。機材の搬送と設営がなくなり、運営側の負担も軽くなった。
熊本大学が同時通訳導入でイベント参加者を100名以上に拡大、コスト80%削減を実現この事例の詳細を読む →043言語しか訳せなかった仕組みを替え、70人中67人が続けたいと答えた
ニデック株式会社 ・ 製造業 ・ 従業員106,592名(連結)
世界47ヶ国で事業を展開するニデックでは、日本人社員、海外の現地社員、外国籍社員の間で日々のやり取りが欠かせないが、従来の翻訳システムは日・英・中の3言語にしか対応していなかった。従来の3分の1以下の価格で、DeepLを含む複数の翻訳エンジンを使える多言語翻訳システムに替え、辞書機能に自社のフレーズと専門用語を登録して精度を上げた。利用者70名のうち67名が継続を希望し、会議資料、マニュアル、市場調査、知財契約まで用途が広がった。語学の仕組みは、専門用語を先に教えると定着する。
グローバル展開企業が多言語翻訳システムを導入、95%のユーザーが継続希望この事例の詳細を読む →05一度失敗した機械翻訳を、エンジンを替えてやり直した
導入企業(非公開) ・ IT・ソフトウェア
この外資系ITメーカーの翻訳・ローカライゼーション部門は、ヨーロッパ言語向けの機械翻訳エンジンをそのまま日英翻訳に使い、品質が悪くてかえってコストと工数が増えた経験を持っていた。二度目は日英に適したエンジンを選び、事前に品質検証と費用対効果の試算を行い、品質基準をラピッドエディットのレベルに定めてチェックリストでポストエディットを進めた。翻訳コストとリードタイムはともに40%削減。US本社からも評価され、取扱説明書など他の文書への展開を検討している。失敗の原因は機械翻訳ではなく、言語とエンジンの組み合わせにあった。
日英翻訳に機械翻訳を導入、コスト・リードタイムを40%削減この事例の詳細を読む →06日本語版を待たずに訳し始め、全言語を同時に出荷した
導入企業(非公開) ・ 製造業
この計測器メーカーは、製品を全言語で同時に出荷したかったが、翻訳者のスキル差で品質が安定せず、依頼のたびに翻訳者が変わって用語と表現がばらつき、技術者が書いた日本語マニュアルの分かりにくさが誤訳を生んでいた。計測器の実務経験を持つ専門翻訳者とテクニカルライターを固定で付け、日本語版の作成と並行して翻訳を始め、用語集とスタイルガイドで基準を見える化し、差分管理シートと翻訳メモリで多段階のチェックを回した。多言語マニュアルは3.5ヶ月で完成し、差分の反映漏れは0件。全言語同時出荷が実現し、ヘルプデスクへの問い合わせも減った。
計測器メーカーの多言語マニュアル翻訳を3.5ヶ月で完成、差分反映ゼロ件を実現この事例の詳細を読む →0780カ国分の申請書類を、人が訳すのをやめた
株式会社メニコン ・ 医療・介護 ・ 従業員1500名
メニコンの海外薬務チームは、80カ国以上で製品の販売許認可を取るために35言語の翻訳資料が急増し、人手の翻訳では時間もコストも足りなくなっていた。文字数の制限がなく、セキュアな環境でPDFをそのまま訳せる自動翻訳を導入。翻訳コストは3分の1削減された。文字数上限のせいで英語のまま読んでいた書類も訳せるようになり、機械翻訳の訳文をほぼそのまま許認可申請に出せる国も出てきた。読める書類が増えると、仕事の範囲が広がる。
多言語翻訳の効率化でコストを3分の1削減この事例の詳細を読む →08外国語を話せる職員を探すのをやめ、32言語の案内ができた
茨城県土浦市 ・ 自治体・公共
茨城県土浦市の窓口では、職員が同じ案内を繰り返し説明する負担が大きく、話し手によって説明にばらつきが出ていた。多国籍の市民向けに外国語の動画を作ろうにも、外国語を話せる職員を探すのが大変だった。PowerPointの資料からAI音声で動画を作る仕組みを入れ、32言語の多言語動画を自動生成して、窓口の案内と外国人移住者への情報発信に使った。動画の作成時間は月30時間から8時間に。説明が統一され、伝えたい内容が確実に伝わるようになった。
09運行情報を毎回訳すのをやめ、外国人の閲覧が7倍になった
近江鉄道株式会社 ・ 物流・運輸 ・ 1896年設立、鉄道・バス・不動産・観光事業展開
近江鉄道では、人による翻訳は時間とコストがかかり、運行情報のように日々変わる情報を都度訳すのは現実的ではなかった。訪日外国人を滋賀県まで誘導する発信も十分にできていなかった。Webサイト全体を自動翻訳に切り替え、運行状況をリアルタイムで多言語化し、駅名のように訳しにくい単語は個別登録で対応した。外国人の閲覧数は7倍以上に。翻訳の手配がなくなってタイムラグが消え、翻訳作業をしていた担当者は別の業務に時間を使えるようになった。
Webサイト自動翻訳導入で外国人閲覧数7倍超へ、運行情報リアルタイム翻訳を実現この事例の詳細を読む →10英語と中国語の店員2人を、3つの免税店で分け合った
株式会社グレープストーン ・ 飲食・食品
グレープストーンの空港免税店では、インバウンドの増加で販売スタッフの確保が難しくなり、外国人客が漢字を読めずに商品を見分けられない場面も起きていた。成田空港の2店舗と羽田空港の1店舗に遠隔接客を入れ、英語と中国語に対応する遠隔スタッフ2名が14時から18時に接客し、営業時間外はシナリオ機能で自動提案する形にした。1スタッフあたりの月間販売数は2,000点から4,300点に。時間帯別・言語別の販売データが貯まり、配置の最適化に使えるようになった。語学のできる人を店に置くのではなく、店の間で共有した締めの1本。
英語が上手くなった会社は、一つもない
10本を並べて最初に気づくのは、社員の語学力を上げた会社が一社もないことだ。変えたのは、翻訳と通訳が発生する場所の方である。会議(横河電機)、イベント(PROFET AI TECHNOLOGY、熊本大学)、日常の連絡(ニデック)、書類(メニコン、計測器メーカー、外資系ITメーカー)、案内(土浦市、近江鉄道)、店頭(グレープストーン)。英語ができる人に回していた仕事を、場面ごとに通訳サービス、自動翻訳、多言語動画、遠隔スタッフに渡している。もうひとつの共通項は、自社の言葉を先に登録していることだ。ニデックは専門用語を辞書に入れ、近江鉄道は駅名を個別登録し、計測器メーカーは用語集とスタイルガイドを作り、横河電機と熊本大学は業界や研究分野に知見のある通訳者を選んでいる。仕組みに語学を任せた会社ほど、自社固有の言葉だけは人が決めている。次の一歩は、自社で英語が発生する場面を一つ書き出すこと。海外拠点との会議か、取引先に送る書類か、店に来る外国人客か。その場面の名前が決まれば、この10本の中に同じ形がある。
貴社に近い事例を、AIが探します
会社サイトのURLを入れると、AIが貴社の事業を読み取り、 掲載事例の中から「同じ業界の事例」と「同じ困りごとを解決した事例」を選んでメールでお届けします(無料・その場で1通だけ)。
※いただいたアドレスに営業の電話やメールを繰り返すことはありません。
この記事に登場したサービス
記事で取り上げた事例で導入されていたサービスの一覧です(掲載データに基づく表記で、優劣や推奨を示すものではありません)。
チェックを付けたサービスの提供企業へ、編集部がまとめてお取り次ぎします。
