事例解体新書#001

「紙を読むAI」で、仕事はどこまで減るのか。
成果で見る導入事例10選

紙は、まだ会社に届く。請求書、領収書、申請書、答案用紙、保険証——そして届いた紙は、誰かが読んで、どこかに打ち込んでいる。この「読む係」をAIに替えた会社が、何をどれだけ減らしたのか。経理・貿易・自治体・銀行窓口・試験の採点まで、業務も業種も違う10本を、成果の数字で並べた。共通するのは、読ませた紙の枚数ではなく、読む前後の仕事まで一緒に変えていることだ。

選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例のうち、紙・帳票の読み取りをAI(AI-OCR等)に任せ、数値成果が公開されている24件から、業務と業種が重ならないように編集部が10本を選んだ。順位ではなく並列の「選」であり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。

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01年間30万枚の請求書を、機械が読むようになった

日清食品ホールディングス株式会社飲食・食品 ・ 従業員1万4千人超

紙の請求書処理に年間7万時間以上を要していた日清食品ホールディングス。AI-OCRで読み取って経費システムに取り込む形に変え、受領から入力・承認・保管までをペーパーレス化した。削減工数は年間約2万4千時間——この10選でいちばん大きい数字であり、紙の量が多い会社ほど読ませる効果も大きいことを示す1本。

ペーパーレス・はんこレス化率
74%
紙保管削減量
年間9万枚
日清食品HD、AI-OCRで請求書処理をペーパーレス化、年間9万枚の紙と約2万4千時間の工数を削減この事例の詳細を読む →

0210分の照合が、2分になった

株式会社ゴンチャ ジャパン飲食・食品 ・ 国内約220店舗を展開

国内約220店舗を展開するゴンチャ ジャパンの悩みは、入力より「照合」だった。貿易書類(発注書と請求書)の突き合わせを目視で行い、担当者に業務が張り付いていた。AIに読ませて照合させることで1件10分の作業が2分に。読み取りの用途が「打ち込み」だけではないことを教えてくれる1本。

貿易書類照合作業時間削減
10分→2分
工数削減率
約80%削減
年30%超の急成長を支えるゴンチャ ジャパンの「攻めのSCM」~貿易書類照合を80%削減この事例の詳細を読む →

03精度50%で止めた会社が、95%で動かした

株式会社インテックIT・ソフトウェア ・ 大企業

繁忙期に50万〜60万件の帳票を人手のダブルチェックで処理していたインテック。従来型OCRは認識精度50〜60%で導入を見送っていたが、AI型で95%に達し、工数を30%削減した。「昔OCRを試してダメだった」会社にとって、いちばん参考になる精度のビフォーアフター。

業務工数削減
30%削減
認識精度向上
50~60%→95%
AI-OCR導入で帳票認識精度を50~60%から95%に向上、工数30%削減を実現この事例の詳細を読む →

04読める帳票が、2割から95%に増えた

ガリバー・インターナショナル株式会社その他

月間数十万件の柔整申請書をすべて手入力していたガリバー・インターナショナル。書式に依存する既存OCRでは約20%しか自動化できなかったが、AI-OCRで処理可能率は95%以上になり、手入力の負担は半分以下に。手書き・書式バラバラという「OCRが苦手だった領域」の到達点を示す1本。

OCR処理可能率
20%→95%以上
手入力の負担削減
50%以上削減
月間数十万件の手入力を50%以上削減、AIが書式違いを自動認識し申請書OCR処理率を95%以上に向上この事例の詳細を読む →

05役所の手書き帳票で、2名分の入力が消えた

新潟県村上市自治体・公共

新潟県村上市は、手書きと活字が混在する給与支払報告書の入力に専用OCR機器と手作業で対応していた。AI-OCRへの置き換えで入力業務全体を30〜40%削減し、必要人員は約2名分減、チェック完了までのリードタイムは2〜3日に。自治体の定型帳票業務での実例として貴重な1本。

給与支払報告書入力業務全体の業務削減率
30~40%削減
入力作業に必要な人員削減
約2名分削減
AI-OCRで給与支払報告書の帳票処理を自動化、業務効率30~40%削減を実現この事例の詳細を読む →

06確定申告の繁忙期に、1カ月待ちが2週間になった

株式会社エフアンドエム人材サービス ・ 中堅企業

約7万人分の記帳代行を抱えるエフアンドエムでは、3月の繁忙期に顧客への会計情報フィードバックが1カ月がかりだった。領収書をAIに読ませることでフィードバックは約2週間に半減し、ピーク時の必要人員は3分の2に。繁忙期が構造的に決まっている士業・代行業の、山の崩し方を示す1本。

顧客への情報フィードバック期間
約1か月→約2週間短縮
ピーク時の必要人員
3分の2削減
AI-OCR導入で確定申告業務を迅速化、顧客フィードバックを1か月から2週間に短縮この事例の詳細を読む →

07窓口の本人確認から、年1,200時間が戻った

株式会社山梨中央銀行金融・保険 ・ 従業員規模不明・全国営業店展開

山梨中央銀行の窓口では、運転免許証に加えてマイナンバーカードや在留カードの本人確認が必要になり、手入力の負担が残っていた。書類の読み取りをOCRに任せることで、窓口業務を年間約1,200時間削減。バックオフィスだけでなく、接客の最前線でも「読む係」を減らせることを示す1本。

窓口業務削減時間
年間約1,200時間
マイナンバーカード・在留カード対応OCRで窓口業務を年間1,200時間削減この事例の詳細を読む →

081週間かかった採点が、2日で終わった

株式会社建設産業振興センター教育 ・ 全国310ヶ所以上の会場運営

毎月2回、全国約80会場・約1,000人分の試験答案を、スタッフ2名が約1週間かけて採点していた建設産業振興センター。答案用紙を帳票OCRで読み取る形に変え、採点は確認作業込みで2日、必要人員は1名になった。請求書でも領収書でもない「答案用紙」という、読ませる紙の意外な広がりを示す1本。

採点作業期間
1週間→2日(確認作業含む)
必要作業人員
2名→1名
監理技術者講習試験の採点作業を1週間から2日に短縮、OCRシステム導入で業務効率化を実現この事例の詳細を読む →

092万件の申請書チェックを、機械に渡しはじめた

学校法人 早稲田大学 情報企画部 / 株式会社 早稲田大学アカデミックソリューション教育 ・ 大企業

早稲田大学では年間約1万名・2万件のアルバイト雇用申請書に対し、1件あたり約200項目のチェックが必要で、繁忙期には5〜7名の職員が手作業で対応していた。申請書の内容チェックを自動化する仕組みで、年間約5,500時間の削減を見込む(公開時点では見込み値)。読ませる目的が「入力」ではなく「チェック」である点が特徴的な1本。

年間作業時間削減
約5,500時間削減見込み
AI-OCR・ルールエンジン連携で臨時雇用申請書チェックを自動化、年間5,500時間の作業削減を実現この事例の詳細を読む →

105拠点から届く封筒ごと、経理の作業が1/10になった

株式会社ジャストヒューマンネットワーク人材サービス ・ 従業員約700名(うちパートナースタッフ約650名)

約700名のスタッフを抱えるジャストヒューマンネットワークでは、全国5拠点から紙の領収書が郵送で集まり、経理が突合と転記を繰り返していた。領収書をAIに読ませる経費精算に切り替え、経理の作業工数は従来の1/10以下に。読ませる前段の「紙を集めて運ぶ」仕事ごと消えるのが、この型の効き方だと分かる1本。

経理作業工数削減率
従来の1/10以下
紙の経費精算をペーパーレス化し、API自動連携で経理作業を1/10以下に効率化この事例の詳細を読む →

減ったのは、入力の時間だけではなかった

10本を並べて見えるのは、減った時間の中身の多様さだ。入力(日清食品HD・村上市)だけでなく、照合(ゴンチャ)、チェック(早稲田大学)、採点(建設産業振興センター)、そして紙を集めて運ぶ工程そのもの(ジャストヒューマンネットワーク)。共通していたのは、どの事例も「読ませて終わり」ではなく、読み取った後のデータの行き先——経費システム、承認フロー、チェックルール——まで一緒に設計していることだ。また、インテックとガリバーの精度の数字(50〜60%→95%)が示すとおり、かつて「試してダメだった」領域が読める領域に変わりつつある。次の一歩は製品比較ではなく、自社で「人が読んでいる紙」を枚数の多い順に数えること。その紙の行き先まで含めて考えたとき、この10本のどれかが、自社の未来図に一番近いはずだ。

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