
そのExcel、まだ現役ですか。
中小企業の脱Excel・脱属人管理 事例10選
中小企業の管理業務は、たいていExcelと「あの人」で回っている。タイムカードの集計表、給与計算のシート、人事評価の配布ファイル、そして作った本人にしか直せない関数——回っているうちは問題にならないが、人が増えるか、人が辞めるかした瞬間に限界が来る。Excelと属人管理から抜け出した中小企業10社が、何に載せ替えて、何がどれだけ変わったのか。従業員19名の工務店から299名までの会社を、成果の数字で並べた。
選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例3,072件のうち、Excel・表計算・属人的な管理からの脱却を扱い、会社全体の従業員規模が中小企業の範囲(おおむね300名以下)と記載から確認でき、数値成果が公開されている事例から、業務が重ならないように編集部が10本を選んだ(同一ベンダーは最大2本まで。別テーマの10選で取り上げた事例、部門人数のみ記載の大企業事例は除く)。順位ではなく並列の「選」であり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。
登場サービスの提供企業へ、編集部がまとめてお取り次ぎします(次の画面で選択を外せます)。
01帳簿と個人PCと記憶で回っていた会社が、粗利を5〜10%改善した
株式会社タカラベ ・ 建設・不動産 ・ 従業員19名
従業員19名のタカラベでは、情報管理が帳簿・個人PCの表計算・個々人の記憶に頼り、年間500〜600件の工事の記録が属人化していた。退職者が出れば過去のやりとりが不明瞭になり、クレーム対応のリスクにもなる。現場情報と粗利管理をクラウドに一元化し、粗利率は5〜10%改善。「会社の記憶」を個人から会社に戻すと、経営の数字まで見えてくることを示す1本。
情報の属人化解消と粗利率5~10%改善、ANDPAD導入で経営透明化を実現この事例の詳細を読む →02タイムカードのExcel集計2〜3日が、自動になった
株式会社紅谷 ・ 飲食・食品 ・ 従業員88~90名
店舗2カ所・製造工場2カ所を構える従業員88〜90名の紅谷では、複数拠点のタイムカードをExcelで集計する作業に2〜3日を要し、人が増えるたび締め日後の業務が追いつかなくなっていた。打刻をデータ化して集計を自動化し、締め作業の山は解消。人数の増加とともに破綻する「Excel集計」の典型的な出口を示す1本。
03変形労働制の給与計算Excelを手放して、工数が70%減った
斐紋中央建工株式会社 ・ 建設・不動産 ・ 従業員21~50名
従業員21〜50名の斐紋中央建工では、シフト改革で変形労働時間制に移行した結果、複雑になった勤務管理と給与計算をExcelで捌ききれなくなっていた。勤務データから給与明細発行までを人事労務システムに載せ替え、管理工数は約70%削減。制度が複雑になった瞬間がExcelの限界点だと分かる1本。
04経費精算のExcelをやめたら、経理の作業が1/10になった
株式会社エニーワーク ・ 人材サービス ・ 従業員60名
従業員60名のエニーワークでは、Excel申請の経費精算で入力ミスと差し戻しが頻発し、電子帳簿保存法への対応も迫られていた。領収書をAIに読ませる経費精算システムに切り替え、経理作業の工数は1/10以下、入力ミス・計算ミスも大幅に減少。ミスの往復——差し戻しと再申請——ごと消えるのがシステム化の効き方だと示す1本。
05エクセル評価シートの配布・回収・集計3日が、1日になった
株式会社ハイテックシステムズ ・ IT・ソフトウェア ・ 従業員29名(2024年2月現在)
従業員29名のハイテックシステムズでは、人事評価シートの作成・配布・回収・集計に3営業日を要し、目標の進捗も見えず、評価基準は上長の塩梅に左右されていた。評価をシステム上の運用に変えて工数は3日から1日(66%減)に。29名でも評価のExcel運用は限界が来る——規模の小ささが免罪符にならないことを示す1本。
評価工数が3日→1日に削減。目標管理の見える化で従業員のモチベーション向上を実現この事例の詳細を読む →06Excelでは無理だった360度評価が、集計1時間で回るようになった
天白信用農業協同組合 ・ その他 ・ 従業員83名
従業員83名の天白信用農業協同組合では、紙とExcelの評価管理でメンテナンスが属人化し、集計に8時間かかるうえ、匿名性を確保できないため360度評価に踏み切れずにいた。評価システムへの移行で集計は8時間から1時間(1/8)になり、匿名性の壁も解消。Excelの限界が「やりたい制度を諦める理由」になっていたことに気づかせる1本。
07スプレッドシートの1on1をやめて、売上が月500万円伸びた
株式会社ジョン ・ 医療・介護 ・ 従業員36~37名
従業員36名のジョンでは、スタッフ増員に伴い評価制度と主体性の引き出しが課題になったが、スプレッドシート運用の1on1では長期的な振り返りができなかった。1on1・目標管理の専用ツールに載せ替えた結果、月次売上は500万〜1,000万円増加。管理の道具を変えることが、管理のためではなく業績のためになり得る1本。
1on1導入で行動レベルの解像度向上、月500万~1000万円の売上UP実現この事例の詳細を読む →08個人の裁量に任せていた残業が、月60時間から30時間になった
関東系事業株式会社 ・ 製造業 ・ 従業員規模50名程度
従業員50名程度の関東系事業では、営業時間外のPC利用が個人の裁量に任され、長時間残業が常態化していた。PC管理ツールで利用状況を可視化・管理する運用に変え、平均残業時間は月60時間から30時間へ半減。ルールでも根性でもなく、仕組みで「属人的な働き方」を変えた1本。
製造業の長時間残業を削減、PC利用時間管理で平均60時間→30時間にこの事例の詳細を読む →09承認が人任せだった契約が、10日から4〜5日で締結できるようになった
Fast Fitness Japan ・ 小売・EC ・ 51~300人
国内外100店舗以上を展開するFast Fitness Japanでは、紙の契約書の製本・押印・郵送に加え、承認プロセスが一元管理されておらず、未承認の契約書が誤送信されるリスクを抱えていた。電子契約と承認フローの整備で締結までの時間は10日以上から4〜5日に、年間コストも100万円以上削減。属人管理の怖さは遅さより「statusが誰にも分からない」ことだと教える1本。
Fast Fitness Japan、クラウドサインと kintone 連携で契約締結を10日以上から4~5日に短縮、年間100万円超のコスト削減を実現この事例の詳細を読む →10エンジニアしか触れなかったサイトが、1週間で更新できるようになった
株式会社エルテス ・ その他 ・ 従業員100〜299名
従業員100〜299名のエルテスでは、Webサイトの更新がエンジニア対応に依存し、ページの修正・新規作成に1カ月以上かかっていた。マーケター自身が更新できる基盤に載せ替えてサービスページ作成は1週間(約4倍短縮)になり、ホワイトペーパーは年20本を制作。「その人しか触れない」を解消すると、仕事の総量そのものが増やせることを示す、締めの1本。
ferret One導入で施策実行スピードが4倍に向上、1年でホワイトペーパー20本を作成この事例の詳細を読む →Excelの限界は、ファイルではなく運用に来る
10本を並べると、Excelが限界を迎えた瞬間には共通点がある。人が増えた(紅谷・ハイテックシステムズ)、制度が複雑になった(斐紋中央建工)、匿名性や権限が必要になった(天白信用農協)、担当者しか触れなくなった(タカラベ・エルテス)——つまり壊れたのはファイルではなく、配って・回収して・突き合わせて・その人に聞く、という運用のほうだ。そして載せ替えの効果は工数削減にとどまらない。粗利が見える(タカラベ)、売上が伸びる(ジョン)、諦めていた制度が動く(天白信用農協)。次の一歩は、自社のExcelを「捨てたら困る順」に3つ挙げてみること。その上位にあるファイルこそ、作った人の頭の中と運用がセットで属人化している場所であり、この10本のどれかが出口の地図になる。
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記事で取り上げた事例で導入されていたサービスの一覧です(掲載データに基づく表記で、優劣や推奨を示すものではありません)。
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