事例セレクション#016
2026.09.24

社内のシステムが古すぎて手を出せない、
と思ったときに読みたい事例10選

20年物の基幹システムは、今日も動いている——だが、直せる人が年々減っていく。アドオンは5,000本に膨らみ、開発言語のサポートは終わり、作った本人は退職し、会計システムはブラックボックスになる。「古すぎて改修できない」を実際に抜け出した10社を並べて読むと、道はひとつではなかった。全面刷新もあれば、コードごと新環境へ移す道も、クラウドの標準機能に業務のほうを合わせる道もある。基幹システムからホスト・CMS・電話・個人のマクロまで、レガシーの型ごとに成果の数字で並べた。

選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例3,470件のうち、老朽化・サポート終了・ブラックボックス化したシステムからの刷新・移行を扱い、数値成果が公開されている事例から、レガシーの型(基幹システム・ホスト・業務システム・CMS・電話設備・会計・属人マクロ)が重ならないように編集部が10本を選んだ(同一ベンダーは最大2本まで。別テーマの10選で取り上げた事例は除く。建物・設備の老朽化のみを扱う事例は除く)。順位ではなく並列の「選」であり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。

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01アドオン5,000本の基幹システムが、100本になった

カルビー株式会社 ・ 飲食・食品 ・ 従業員4,053人(連結)

カルビーでは、10年以上使った基幹システム(SAP R/3)に、地域や事業部の要望へ応え続けた結果のアドオンプログラムが約5,000本積み上がり、保守コストと人的リソースを飲み込んでいた。インメモリ型の新基盤へ全面刷新するのと同時に業務の標準化とアドオンの棚卸しを断行し、アドオンは約100本に、レポート集計は45分から数秒に。レガシーの正体は古さではなく「しがらみの数」だと示す、最初の1本。

レポート集計処理時間
45分→数秒
アドオンプログラム削減
約5,000本→約100本
カルビー、SAP R/3からHANAへの基幹システム刷新により処理能力を大幅向上、アドオン約5,000本を約100に削減この事例の詳細を読む →

02作れる人が減った20年物のシステムを、作り直せた

村田機械株式会社 ・ 製造業 ・ 大企業

村田機械では、開発から20年近い輸出業務の基幹システムが老朽化し、メンテナンスできる人員も減って、従来の内製スクラッチ開発が続けられなくなっていた。クラウド型の業務システム開発ツールで4事業部それぞれの業務プロセスに合わせて再構築し、帳票開発は自社で実施。全社の輸出業務は10%以上、繊維機械事業部のパーツ関連業務は約40%の工数削減。「作れる人がいない」を開発のやり方ごと変えて解いた1本。

全社輸出業務全体の業務効率化
10%以上
繊維機械事業部のパーツ関連業務プロセスの工数削減
約40%
複数事業部の輸出業務システムを刷新、Business b-ridgeで10%以上の業務効率化を実現この事例の詳細を読む →

03ホストコンピュータ頼みのデータ活用が、利用者3倍になった

株式会社デンソー ・ 製造業 ・ 従業員単独46,272名、連結168,391名(大企業)

従業員16万名超のデンソーでは、現場のデータ活用が長年使ってきたホストコンピュータに依存し、見える化や情報共有を広げられずにいた。ブラウザで使えるBIツールへリプレースし、業務への組み込みを継続的に推進した結果、BI利用者は3倍に増加。ホストを降りることは「同じことを新しい箱で」ではなく、使える人の裾野を広げることだった1本。

BI利用者数
3倍増加
デンソー、BIツール Yellowfin で データ活用基盤を刷新し、利用者を3倍に拡大この事例の詳細を読む →

04サポートが終わったVB2.0のシステムを、クラウドに載せ替えた

ゆこゆこホールディングス株式会社 ・ 小売・EC ・ 従業員100~500名

温泉宿予約のゆこゆこホールディングスでは、VB2.0で組まれた旧式の基幹システムのサポートが終了し、ビジネスの変化に追従できず、オペレーターには操作も複雑だった。SalesforceとAWSを中心とするマルチクラウド構成へ刷新し、宿泊施設側のシステムともノンプログラミングで連携。受付作業の効率は約20%向上し、全体コストは15〜20%削減。「サポート終了」を移行の好機に変えた1本。

受付作業効率
約20%向上
全体的なコスト
15~20%削減
温泉予約システムをマルチクラウド化、コンタクトセンター業務効率を20%向上この事例の詳細を読む →

05全部作り直さずに、VB6のシステムを新環境で動かした

ラジオメーター株式会社 ・ 製造業

医療機器のラジオメーターでは、VB6.0で開発された業務システムの大多数がWindows 10で安定稼働できず、かといって作り直しは工数も費用も膨大で、内部リソースでは不可能と判断されていた。マイグレーションサービスでVB .NETへコンバージョンし、既存機能の再現率は100%。「刷新か我慢か」の二択ではなく、コードごと引っ越すという第三の道を示す1本。

後続機能の再現率
100%
Visual Basic 6.0業務システムをVB .NETへ移行、後続機能を100%再現しWindows 10で安定稼働を実現この事例の詳細を読む →

06経理5名が全員退職——2ヶ月でクラウドに移行して2名で回した

株式会社アウローラ ・ 人材サービス ・ 従業員100名規模

従業員100名規模のアウローラでは、事業再編で経理担当者5名が全員退職し、業務停止の危機に直面した。オンプレの古い会計システムはブラックボックス化しており、引き継ぎようがない。クラウド会計への移行と業務フローの再設計、アウトソーシングの組み合わせを2ヶ月弱でやり切り、経理は5名分の業務が削減されて2名で完結するように。「人がいるうちに」ではなく「人が消えてから」の緊急脱出を記録した1本。

経理専任の業務削減
5名分削減、2名で対応可能に
経理専任5名の業務を削減、クラウド移行と業務プロセス改善を2ヶ月で実現この事例の詳細を読む →

07創業パートナーが残したマクロの呪縛が、月2時間になった

アップシードビーンズ株式会社 ・ 教育 ・ 従業員10名

従業員10名の学習支援塾アップシードビーンズでは、給与・請求の計算が創業パートナーの自作マクロで回っており、操作方法は共有されないまま本人が離脱。決算期は仕訳業務に1ヶ月かかりきりになっていた。クラウド会計を中心に経理体制を作り直して仕訳・請求・労務を外注し、仕訳業務は月2時間に、溜まっていた6ヶ月分は1週間で処理。レガシーは大企業の基幹だけでなく、10名の会社のExcelマクロにも宿る、と教える1本。

仕訳業務に要する時間
月1ヶ月間かかりきり→月2時間
滞積仕訳の処理期間
6ヶ月分を1週間で完了
経理・労務業務の外注で月1時間→2時間に削減、講師カリキュラム再構築に時間配分この事例の詳細を読む →

0810年物のカスタムCMSを捨てたら、ページ制作が2時間から15分になった

株式会社ネクスウェイ ・ その他 ・ 従業員300〜999名

従業員300名超のネクスウェイでは、10年前に作ったカスタマイズCMSが機能追加の繰り返しでブラックボックス化し、HTMLが分かる人しか更新できず、モバイル対応も処理速度も改善できなかった。カスタマイズに依存しない標準機能中心のCMSへ5事業ぶんを移管し、ブログ記事の制作は2時間から15分(92.5%減)、5事業部合計の記事制作は月24時間から3時間に。「二度とブラックボックスを作らない」選び方をした1本。

ブログ記事ページ制作時間
2時間→15分(約92.5%削減)
5事業部合計のコンテンツマーケティング記事制作時間
月24時間→3時間(約87%削減)
ブラックボックス化したCMSからferret Oneへ移管、運用負荷を85%軽減し事業部横断のPDCA基盤を確立この事例の詳細を読む →

09レガシーPBXをクラウドに変えて、固定費が3分の1になった

株式会社チェスコムコールセンターソリューションズ ・ 人材サービス

受託型コールセンターのチェスコムコールセンターソリューションズでは、NTT回線とレガシーPBXのランニングコストが重く、業務量が変わるたびに外部業者の回線工事が必要で、費用と時間を取られていた。クラウドPBXに移行して電話番号をほぼ無制限に設定できるようにし、月々の固定費は3分の1に削減。オフィス移転まで可能になった。設備としてのレガシー——電話——を解いた1本。

月々の固定費削減率
3分の1削減
レガシーPBXからクラウドPBX移行で月々固定費を3分の1に削減、オペレーター満足度も向上この事例の詳細を読む →

10保守期限まで約1年——刷新したら、顧客への通知が3週間速くなった

株式会社静岡銀行 ・ 金融・保険

静岡銀行では、複数のWeb申込フォームがデザインもUIもばらばらでモバイル未対応、データは部署ごとに散在し、しかもシステムの保守期限が約1年に迫っていた。デザインガイドを先に定め、クラウドの標準機能に業務を合わせる方針で短期開発し、予定どおりリリース。口座番号の通知は3〜4週間から1週間に短縮された。期限に追われた刷新が、社内の延命ではなく顧客体験の改善で終わった——締めの1本。

口座番号通知までの期間短縮
3~4週間→1週間
Experience Cloudで複数のWeb申込フォームを短期間で刷新し、利便性・セキュリティ向上を実現この事例の詳細を読む →

「動いている」と「維持できる」は、違う

10本を並べると、レガシーの本当のリスクは「止まること」ではなく「直せないこと」だと分かる。アドオン5,000本(カルビー)、メンテ人員の減少(村田機械)、作った本人の離脱(アップシードビーンズ)、ブラックボックス化した会計(アウローラ)——どれも、システムは動いたまま、変更できる人だけが消えていった。抜け出す道は3つある。業務ごと標準に合わせて全面刷新する道(カルビー・ゆこゆこ・静岡銀行)、コードや機能を新しい環境へ移す道(ラジオメーター・デンソー・チェスコム)、そして人と体制ごと作り直す道(アウローラ・アップシードビーンズ)。共通の教訓は、レガシーを生んだ犯人がカスタマイズだということだ。次にブラックボックスを作らないために、標準機能に業務を合わせる(静岡銀行・ネクスウェイ)。次の一歩は、社内のシステムを「直せる人の人数」で棚卸しすること。1人以下のシステムがレガシー予備軍であり、その1人が辞める前なら、この10本のどの道も選べる。

この記事に登場したサービス

記事で取り上げた事例で導入されていたサービスの一覧です(掲載データに基づく表記で、優劣や推奨を示すものではありません)。

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