
センサー・カメラ・遠隔操作で、巡回・点検・出張をなくした事例10選
現場を見に行く。機械の様子を見に行く。点呼に立ち会いに行く。支所のPCを直しに行く——「行って、見て、帰る」の移動は仕事に見えないが、現場監督は1日2時間を移動に使い、運行管理者は点呼のためだけに出社し、情シスは片道1時間かけてPCを直しに行っていた。見に行く仕事をセンサー・カメラ・遠隔操作に渡した10の事例を、見に行っていたものの順に並べた。共通して見えてくるのは、「ときどき見に行く」より「常に見えている」ほうが強い、という事実だ。
選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例3,072件のうち、巡回・点検・立ち会い・出張・現地訪問といった「現地へ行って確認・対応する仕事」の遠隔化・自動化を扱い、数値成果が公開されている事例から、見に行く対象(現場・水質・点呼・端末・会議・画像診断・被災建物)が重ならないように編集部が10本を選んだ(同一ベンダーは最大2本まで。別テーマの10選で取り上げた事例は除く)。順位ではなく並列の「選」であり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。
登場サービスの提供企業へ、編集部がまとめてお取り次ぎします(次の画面で選択を外せます)。
01現場監督の移動が1日2時間減り、着工棟数は1.3倍になった
株式会社ナミキ ・ 建設・不動産 ・ グループ企業14社
グループ14社で建設事業を展開するナミキでは、部門ごとに紙とFAXで情報を管理し、設計変更が施工部門に伝わらず、監督は現場と事務所を往復して確認していた。施工管理をクラウドに一元化してリアルタイムに共有し、現場監督の移動時間は1日2時間削減、年間着工棟数は39棟から51棟(1.3倍)に。移動を減らした分がそのまま「建てられる量」になった、最初の1本。
ANDPAD導入で情報共有を一元化、現場監督の移動時間1日2時間削減、年間着工棟数1.3倍増加この事例の詳細を読む →02週3回の巡回点検が週1回になり、現場作業は67%減った
高速道路事業者 ・ 物流・運輸
高速道路のパーキングエリアでは、浄化槽の水質管理のために週3回の巡回点検で手作業の測定・記録を続けていたが、高齢化と技術者不足で回りきれなくなっていた。水質センサーを設置して測定値をクラウドへ自動送信し、異常はメールで通知。巡回は週1回に減り、現場作業時間は67%削減。週3回の巡回は残りの4日を見ていない——常時監視のほうがよく見えている、と教える1本。
03点呼のためだけの出社をやめて、月170万円が浮いた
浪速運送株式会社 ・ 物流・運輸 ・ 従業員3,050名(国内2,400名、海外650名)
従業員3,050名・車両700台の浪速運送では、運行管理者が点呼のためだけに出社し、長時間センターに拘束されていた。センターによっては点呼ができない時間帯もあった。東京・大阪の2拠点に管理者を24時間配置し、24拠点の点呼をインターネット経由の遠隔点呼に切り替えて、月間170万円のコストメリット。「立ち会うために行く」を全国から2拠点に集約した1本。
運行管理者の点呼業務を遠隔化・時短化し、月170万円のコストメリットを実現この事例の詳細を読む →04端末を見に行かず画面で直して、対応が1時間から10分になった
株式会社メディセオ ・ 物流・運輸
医薬品卸のメディセオでは、倉庫に分散する4,000台のハンディターミナルにトラブルが起きるたび、電話越しの説明だけで現場の状況をつかめず、更新は1台ずつの手作業だった。端末を管理者が遠隔操作できる環境に変えて、トラブル対応は1時間から10分に、現場から本社への端末送付は1日平均5台から2台に。「見えないから行く・送る」が消えた1本。
05端末を回収して直す運用をやめたら、サポートが6分の1になった
姫路医療生活協同組合 ・ 医療・介護 ・ 15業種45事業所運営
15業種45事業所を運営する姫路医療生活協同組合では、既存の端末管理に遠隔操作がなく、訪問看護・介護職員のスマートフォン約600台は、アプリの削除やトラブルのたびに回収して手動対応していた。遠隔操作と業務に必要な機能だけを表示する画面制限に切り替え、管理者のサポート時間は1時間から10分(1/6)に。端末が現場と管理者の間を旅していた時間を消した1本。
06片道1時間の「PCを直しに行く」が、なくなった
市原市 ・ 自治体・公共 ・ 職員数2,059名
職員2,059名の市原市では、100以上の拠点に散らばる3,000台以上のPCをExcelの手作業で棚卸しし、ヘルプデスクは支所まで片道1時間かけて直しに行っていた。IT資産の自動収集とリモート操作を入れて、棚卸しは自動化、遠隔対応で現地訪問は不要に。異動の多い自治体で「詳しい人に頼る」体制からも抜け出した。行政の「見に行く仕事」を代表する1本。
07片道4時間の会議が、2年で400回の遠隔会議になった
中国電力株式会社 ・ エネルギー・環境 ・ 大企業
中国電力では、本社と各発電所の間が拠点間移動4時間以上という距離にあり、老朽化した映像会議は音質も相互接続性も限界だった。メーカーの違う端末をつなげる会議基盤に更新し、地図上の拠点を選ぶだけの操作にしたところ、利用は約2年間で400回以上——ほぼ1日1回のペースで定着した。道具が簡単になった瞬間に「行かない」が日常になる、と示す1本。
08会いに行く出張が減って、出張費が8割減った
東洋エンジニアリング株式会社 ・ 建設・不動産 ・ 大企業
プラント建設の東洋エンジニアリングでは、旧式のテレビ会議が接続のたびにネットワーク担当者を呼ぶ状態で、高コストゆえに全会議室には置けなかった。会議室専用端末56台をワンタッチ参加にし、取引先はURLだけで参加できる構成に変えて、出張費は8割削減。会議の遠隔化は「システムがあるか」ではなく「迷わず始まるか」で決まる1本。
09診断結果が1週間後から、1時間以内になった
導入企業(非公開) ・ 医療・介護
常勤の放射線科医が足りないこの医療機関では、読影の負担が大きく、診断結果が患者に届くまで1週間かかっていた。検査画像を遠隔の専門医が読影するサービスに切り替え、結果の伝達は1時間以内に。専門家のいる場所へ「持って行く・来てもらう」のではなく、画像のほうを動かす——医療で最も切実な「見てもらいに行く」を解いた1本。
10地震のあと、建物を見に行かなくてよくなった
株式会社豊田自動織機 ・ 製造業 ・ 大企業
豊田自動織機では、地震発生時の建物立ち入り可否を担当者の目視で判定しており、時間がかかるうえ、判定に行くこと自体に被災リスクがあった。無線地震計センサーをクラウドにつなぎ、建物ごとの損傷判定ルールを組み込んで、立ち入り可否は10数分程度で自動判定。「見に行くのが危険な場所」こそセンサーに見させる——この10選の到達点を示す、締めの1本。
「見に行く」は、仕事ではなく制約だった
10本で消えたのは、確認や点検や修理そのものではない。そこへ行く時間だ。型は3つある。ひとつは、常に見えるようにする(高速道路の水質センサー・豊田自動織機の地震計)——ときどき見に行く目より、24時間のセンサーのほうがよく見ている。ひとつは、遠くから操作する(メディセオ・姫路医療生協・市原市)——直すために端末や人が移動する必要はなかった。最後が、行かずに会う(浪速運送の遠隔点呼・中国電力・東洋エンジニアリング・遠隔読影)——立ち会いも会議も診断も、その場にいることが本質ではなかった。次の一歩は、自社の「行く仕事」を移動時間×頻度×人数で書き出すことだ。掛け算がいちばん大きい移動から、この10本の型が当てはまる。行った先でやっていることが「見る・確認する・押す」だけなら、それはもう行かなくていい仕事かもしれない。
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