
自分の客を、自分で見つける。
「下請け・待ちの営業」から抜け出した事例10選
下請けや紹介で仕事が回っているうちは、困らない。だが単価は相手が決め、元請けの発注が減れば自社の売上も一緒に減る。紹介頼み、代理店越し、展示会だけ、業務用ルートのみ——形は違っても共通するのは「自分の客がいない」ことだ。自力で客を見つけられるようになった10社を、見つけてもらう・営業を持つ・海外へ出る・消費者へ届く・自社製品を持つ、の順に並べた。営業マンゼロの廃棄物処理会社から、従業員5名で50数カ国と取引するお茶屋まで、成果の数字で読む。
選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例3,581件のうち、紹介・代理店・展示会・業務用ルートといった受け身の販路への依存から、自社での新規顧客獲得・販路開拓に踏み出した事例で、数値成果が公開されているものから、打ち手の局面(Webで見つけてもらう・営業機能を持つ・海外販路・消費者向け転換・自社製品開発)が重ならないように編集部が10本を選んだ(同一ベンダーは最大2本まで。別テーマの10選で取り上げた事例は除く。導入企業が匿名の事例を1本含む)。順位ではなく並列の「選」であり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。
登場サービスの提供企業へ、編集部がまとめてお取り次ぎします(次の画面で選択を外せます)。
01年3件だった新規問い合わせが、350件を超えた
株式会社関東製作所 ・ 製造業 ・ 従業員202名(2023年1月時点)
金型・成形の関東製作所(従業員202名)では、新規開拓をマーケティング未経験の担当者1人が背負うことになった。技術知識のない顧客に向けて成形技術のコンテンツを発信し、サイト内の動きに合わせたポップアップで問い合わせへ誘導する仕組みを構築。マーケティング立ち上げから3年で、年間の新規問い合わせは3件から350件超に——かつて1年かかった件数を、今は1日で達成することもある。製造業の「待ち」を破った、最初の1本。
マーケティング未経験の1人マーケターがSATORIのポップアップ機能で新規問い合わせを年間100件から350件超に増加この事例の詳細を読む →02代理店越しで見えなかった顧客から、月200件の問い合わせが届いた
株式会社キトー ・ 製造業 ・ 従業員300〜999名
ホイスト(巻上機)メーカーのキトー(従業員300〜999名)では、販売が代理店メインのため顧客のニーズが見えず、既存顧客の売上だけでは飛躍的な成長が見込めなかった。自社で更新できるサイトに作り変えて資料ダウンロードの入口を設け、顧客ニーズの可視化を開始。問い合わせは月200件、資料ダウンロードは月500件に。代理店販売のままでも「顧客と直接つながる回路」は作れると示す1本。
ホイストメーカーが Webサイトリニューアルで月200件の問い合わせ獲得、運用工数も大幅削減この事例の詳細を読む →03展示会が消えた年に、Webの問い合わせを2倍にした
太陽パーツ株式会社 ・ 製造業 ・ 従業員101~500名以下
製造業の太陽パーツ(従業員101〜500名)では、新規リードの獲得を展示会に頼っており、コロナ禍で出展がなくなると入口そのものが消えた。ダイカスト鋳造に特化したソリューションサイトを作り、過去の名刺12,000枚を電子化してMAに投入、3ヶ月で運用を開始。Web経由の問い合わせは月8〜9件から21件へ2倍になった。「展示会の穴埋め」で始めた空中戦が常設の販路になった1本。
展示会の穴を埋める以上の成果。コロナ禍を機にMAツールで「空中戦」へ転換、問い合わせ2倍化を実現この事例の詳細を読む →04紹介と直営業だけだった調味料工場に、月10件の問い合わせが来るようになった
有限会社丸井食品三重工場 ・ 飲食・食品
調味料製造の丸井食品三重工場では、新規開拓が営業マンの直接訪問と取引先の紹介のみで、数年放置されたホームページからの問い合わせはゼロだった。ビーガン・グルテンフリー・ハラール対応という自社の強みを打ち出してサイトを刷新し、スタッフが週1本のブログを更新。新規問い合わせは月0件から月平均10件が1年以上続いている。「うちの強みを知らないのは客ではなく、伝えていない自分たちだった」と気づかせる1本。
ホームページリニューアルで新規問い合わせが月0件から月10件へ、採用も増加この事例の詳細を読む →05営業部のない町工場が、外部人材で月15件のアポを獲得した
株式会社中村製作所 ・ 製造業 ・ 従業員51~100名
従業員51〜100名の中村製作所では、営業リソースがなく、新規顧客開拓に踏み出せずにいた。クラウドソーシングで営業支援のフリーランスにリード獲得業務を委託し、毎月15件の新規アポイントを獲得、売上は1.5倍に成長した。営業部を作るには採用と育成で年単位かかる——「営業を雇う」のではなく「営業を借りる」という始め方を示す1本。
06営業マンゼロのまま、累計5,000社から問い合わせが来た
竹下産業株式会社 ・ その他 ・ 従業員数:記載なし(営業マンなし)
廃棄物処理の竹下産業では、できあがった市場での営業活動に限界があり、業界特有の「不透明さ」への不信も新規開拓の壁だった。ホームページに経営者と社員の顔を出し、コラムで専門知識を発信し、会わなくても信頼できる状態を作り込む方針を約10年続けた結果、問い合わせは累計5,000社以上、大企業からの引き合いも増加。営業マンはいない。「誠実さを見える化する」ことが営業だった1本。
07従業員5名のお茶屋が、50数カ国と取引して売上12倍になった
株式会社香月園 ・ 飲食・食品 ・ 従業員5名
愛媛のお茶・茶道具専門店の香月園(従業員5名)は、国内市場の縮小と、夏に売上が落ちる季節商売の構造に悩んでいた。ネット通販に海外から注文が入ったことをきっかけに海外BtoBマーケットプレイスへ出展し、抹茶を中心に大口顧客を開拓。月売上は半年で100万円から1,200万円(12倍)になり、取引は50数カ国、海外売上は2億円に。季節変動まで海外市場が埋めた。市場ごと乗り換えた1本。
地域のお茶屋がアリババで50カ国へ展開、半年で売上12倍を実現この事例の詳細を読む →08越境ECが、売上全体の30%を占めるまで育った
株式会社江戸てん ・ 小売・EC ・ 従業員数名規模
従業員数名規模の江戸てんでは、越境ECを始めたものの、通関書類の作成に時間を取られて配送が遅れ、関税を顧客負担にせざるを得ないことが満足度を下げていた。通関手続きと国際配送を一体化したサービスに載せ替えて米国向け1週間以内の配送を実現し、越境ECは売上全体の30%を占める柱に成長。小さな会社の「海外のお客さん」は、物流を整えた分だけ増えると示す1本。
09業務用ルートだけだったみょうがが、生産農家4名から200名超の産品になった
土佐くろしお農業協同組合 ・ 飲食・食品 ・ 従業員174名
全国シェア約95%を誇る高知のみょうが産地でも、販路は業務用が中心で、一般消費者には知られていなかった。土佐くろしお農業協同組合はキャラクターを軸にしたブランディングと、QRコードやARフォトフレーム付きのスマートパッケージで消費者との接点を作り、レシピ企画や食品メーカーとのコラボを展開。売上は大幅に伸長し、生産農家は4名から200名超に拡大した。「知られていない産品」を消費者市場に連れ出した1本。
10下請けの技術で自社製品を作り、半年で完売させた
自動車内外装部品メーカー様 ・ 製造業
この自動車内外装部品メーカーでは、新規事業開発の経験がなく、プロジェクトは発足3ヶ月で停滞していた。12ヶ月の伴走支援で自社リソースの棚卸しからビジョン策定・企画・事業計画までのプロセスを整備し、開発アイテムは約3から15程度へ5倍に。自社製品のWeb販売は半年以内に第一弾が完売し、BtoC展開へ進んだ。受託で磨いた技術を「自分の製品」に変える——脱下請けの最終形を示す、締めの1本。
依存から抜けた会社は、販路より先に「見つかり方」を作った
10本を並べると、順番が見えてくる。最初の一歩はどの会社も「自分たちを見つけてもらう回路」を作ることだった——技術コンテンツ(関東製作所)、資料ダウンロード(キトー)、強みの言語化(丸井食品)、誠実さの見える化(竹下産業)。営業がいなければ借りればいい(中村製作所)。回路ができたら、市場を選び直す——国内がだめなら海外へ(香月園・江戸てん)、業務用ルートしかないなら消費者へ(土佐くろしお農協)。そして最終形が、受託で磨いた技術を自社製品に変えることだ(自動車部品メーカー)。共通するのは、どの一歩にも大きな投資が要らなかったこと。サイトの作り直し、名刺12,000枚の電子化、週1本のブログ——始まりは全部それくらいの大きさだ。次の一歩は、自社の売上を「自分で見つけた客」と「もらった仕事」に分けてみること。前者がゼロに近いなら、この10本の最初の3本から読み直してほしい。
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