事例セレクション#028
2026.10.17

朝5時半に出勤する調理員が、いなくなった。
前日に盛り付けて、朝は温めるだけにした給食の事例3選

病院や施設の厨房で一番採れないのは、朝5時台に出勤する人だ。求人を出しても早番だけ埋まらず、パートは定着しない。この3本の施設も同じところで詰まっていた。桜ヶ丘記念病院は毎食ごとに調理して出す運用で早番が5時30分、あつち葛飾クリニックは完調品を温めるだけの施設なのに専属の調理師を置いていた。3施設が変えたのは献立でも人員計画でもなく、調理と配膳の時間の間にある切れ目だ。前日の午後に盛り付けてチルドで保存し、配膳の時間に合わせて自動で温める。早番の出勤は7時に、早朝の調理員は5名から1名に、専属調理師の採用は不要になった。朝の厨房から調理という仕事を外した3施設の数字を並べた。

選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例5,469件のうち、病院・介護施設・社員食堂など集団給食の厨房を扱い、数値成果が公開されている事例は11件。そのうち、患者・入居者・利用者向けの給食で、調理と配膳を時間で切り離す仕組み(ニュークックチル、再加熱ワゴン)を主な施策とした3件をすべて取り上げた。10本に満たないため3選とし、順位ではなく並列の「選」として並べた。製品の優劣や市場の代表性を示すものではなく、3件はベンダーがそれぞれ異なる。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。

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01早番の出勤が5時30分から7時になり、食数は400から500に増えた

社会福祉法人 桜ヶ丘社会事業協会 桜ヶ丘記念病院 ・ 医療・介護 ・ 病床数405床

病床数405床の桜ヶ丘記念病院の食養部では、毎食ごとに調理して提供する運用のため早番の出勤が5時30分で、病院と特別養護老人ホームの厨房でスタッフが重複していた。人材の確保が大きな課題で、パートスタッフの定着率も低かった。2施設の厨房を集約してセントラルキッチンにし、前日の午後に盛り付けたトレイを再加熱カートでチルド保存して、配膳の時間に自動で加熱する仕組みに変えた。アイドルタイムが減り、週2日は調理しない日を置けるようになった。早番の出勤は7時に、提供食数は同等以下のスタッフで約400食から500食に、新人が仕事を覚える期間は半月から1週間程度に。パートの定着率が上がり、週末に休める環境になった。

早番出勤時間
5時30分→7時(1時間30分短縮)
提供食数
約400食→500食(同等以下のスタッフ数で対応)
ニュークックチルシステム導入で早番出勤時間を5時30分→7時に短縮、人材確保課題を解決この事例の詳細を読む →

02早朝の調理員が、5名から1名になった

国立大学法人佐賀大学医学部附属病院 ・ 医療・介護 ・ 600床規模

600床規模の佐賀大学医学部附属病院の調理部門では、副菜の種類が多い朝食を大量調理し、加熱後2時間以内に提供する制約の中で、調理員の負担と衛生的な提供の両立が課題だった。ニュークックチルを導入し、食事を食器に盛り付けてからマイクロ波で加熱・冷却する方式にして、調理内容ごとに加熱の度合いと時間を設定できるようにした。早朝勤務の調理員は5月の導入前後で5名から4名に、7月には4名から1名に減った。立ち上げは短期間で済み、空いた手で若い栄養士が調理に加わって、メニューの幅が広がった。

早朝勤務の調理員数削減
5月導入前5名→導入後4名、7月導入前4名→導入後1名削減
非常勤職員の勤務数削減
6月導入前3名→導入後4名
佐賀大学医学部附属病院がニュークックチル導入で、大量調理時の食事提供時間を短縮この事例の詳細を読む →

03温めるだけの厨房に、専属の調理師を置くのをやめた

医療法人慈風会 あつち葛飾クリニック ・ 医療・介護

あつち葛飾クリニックの通所リハビリテーション部門では、セントラルキッチンで調理した完調品を施設で再加熱して出していたが、スチームコンベクションオーブンと常温の配膳車では専属の調理スタッフが要り、人件費の負担が大きかった。再加熱ワゴンを導入し、前日に盛り付けて冷蔵した食材を当日の朝に自動で再加熱、ご飯と汁物だけを別に調理して配膳する運用に変えた。専属調理師の採用は不要になり、介護スタッフ1名の兼務で回る。配送費の月1万円を含めても大幅なコストダウンになり、火を使う場面が汁物だけになって労務上の事故リスクも下がった。温めるだけの仕事に、調理師の資格は要らなかった。

人員削減
専属調理師の採用不要化、介護スタッフ1名で兼務可能
月間コスト削減
配送費月1万円を含めても大幅なコストダウン
マルチサーブ導入で調理スタッフ不要化と業務効率化を実現この事例の詳細を読む →

朝の厨房から、調理を外す

3本を並べると、変えた場所は一つしかない。調理と配膳の間にある時間だ。桜ヶ丘記念病院は前日の午後に盛り付け、佐賀大学医学部附属病院は盛り付けてから加熱と冷却を済ませ、あつち葛飾クリニックは前日に盛り付けて冷蔵した。どこも朝の仕事を温めることだけにして、調理そのものを朝から外している。もう一つの共通項は、朝の仕事が技能から手順に変わったことだ。桜ヶ丘記念病院では新人が仕事を覚える期間が半月から1週間に縮み、あつち葛飾クリニックでは介護スタッフが兼務できるようになった。早番に調理師を採る難しさは、朝に調理をしなければ消える。次の一歩は、自施設の早番が出勤してから配膳までに何をしているかを書き出すこと。切る、煮る、盛る、温める、運ぶ。そのうち朝にしかできない仕事がいくつ残るかで、この3本のどれに近いかが分かる。

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ニュークックチルシステムfujimak ・ その他記事内の事例 →
ニュークックチルシステムmeal-shuttle ・ その他記事内の事例 →
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