事例セレクション#030
2026.10.17

同じ数字を、今日も二度打っている。
規模の違う3社が二重入力をなくした事例3選

受注メールの内容を在庫システムに打ち直す。基幹に入れた得意先を会計にもう一度登録する。顧客から届いた検収明細を、自社の売上データと目で見比べる。入れ物が2つあれば、間に立つ人が同じものを二度打つ。この二度打ちを消した会社を、従業員2名、64名、478名の順に並べた。2名の会社はロボットに転記させ、64名の会社は2つのシステムを連携ツールでつなぎ、478名の会社は照合そのものを専用システムに任せた。手が分かれた理由は会社の規模だけではなく、何を替えられなかったかにある。自社はこの3社のどこに近いか。

選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例6,640件のうち、困りごとタグ「二重入力」が付き、数値成果が公開されている94件から、同じ課題に対して規模と現場の制約が違い、取った手も提供元も異なる3社を編集部が選んだ。順位ではなく並列の「選」であり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。

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01夫婦2人のネットショップで、在庫の打ち直しが1日1〜2時間消えた

株式会社きのした ・ 小売・EC ・ 従業員2名

売上が伸びるほど、1日3回の在庫更新と200通の受注メールの転記に夫婦2人が追われ、数字のずれを月末に2日かけて探す月もあった。夫婦2人のまま、既存の在庫システムも替えずに、在庫のアップロードと受注メールの仕分け・記帳・転記をRPAに任せ、ロボットの構築は提供元の有償サポートに頼った。在庫作業は1日1〜2時間、受注処理は半日分減り、定型業務は午前中に終わるようになった。

在庫管理作業の時間削減
1日1~2時間削減
受注処理作業の時間削減
半日削減
ネットショップの定型業務を自動化し、午前中に業務完結・年商4億円達成この事例の詳細を読む →

02基幹と会計はそのまま。朝夕の取込30分〜1時間が5分になった

東海模型株式会社 ・ 小売・EC ・ 従業員64名

模型・玩具卸の東海模型では、受注・入荷データの手作業での取込と、基幹システムと会計システムに同じマスタを二重に登録する作業が、毎日朝夕の忙しい時間に1人の担当者に集中していた。どちらのシステムも残したまま、ノーコードのデータ連携ツールで取込を自動化し、マスタ連携の口を1つに統一し、決まった時刻にデータを抽出させた。取込は30分〜1時間から5分になり、月に10時間以上が減って、早朝出勤もなくなった。

データ取込作業時間削減
30分~1時間→5分
月間削減時間
10時間以上
受注・入荷データ取込の自動化で月間10時間削減、マスタ二重管理を解消この事例の詳細を読む →

03顧客ごとに書式が違う検収明細の照合が、3〜4時間から数分になった

株式会社メイコー ・ 製造業 ・ 従業員478名

プリント基板メーカーのメイコーでは、顧客から紙とデータの両方で届く検収明細の書式が顧客ごとに違い、売上データとの目視照合に月35時間を使い、システム間の連携不備で二重登録も起きていた。転記を自動化するのではなく、照合そのものを専用システムに置き換え、顧客ごとのレイアウトをパターンとして登録し、並行稼働で精度を段階的に上げた。照合は3〜4時間から数分になり、入金消込から仕訳作成までが同じシステム上で完結している。

照合作業時間
3~4時間→数分
検収照合業務(月間)
35時間削減
検収照合業務を自動化し、月間35時間の作業を数分に削減この事例の詳細を読む →

3社を比べる

同じ二重入力を、規模の小さい順に並べた。見てほしいのは、各社が何を替えずに残し、どこに手を入れたかの違いだ。

01株式会社きのした02東海模型株式会社03株式会社メイコー
規模従業員2名・小売(EC)従業員64名・卸従業員478名・製造
二度打ちの中身受注メールと在庫システム受注・入荷データと、基幹と会計のマスタ顧客の検収明細と自社の売上データ
現場の制約人手は夫婦2人、既存の在庫システムは替えない基幹と会計の2システムを残す、担当は1人顧客ごとに書式が違う、紙とデータが混在
入れたものと範囲RPA(構築は有償サポート)を在庫と受注の定型作業にノーコード連携ツールを取込・マスタ連携・抽出に照合専用システムを検収照合と入金消込に
取った手転記を人からロボットに替える2つのシステムの間をつなぐ照合という仕事を自動にする
成果在庫作業1日1〜2時間減、受注処理半日減取込30分〜1時間が5分、月10時間以上減照合3〜4時間が数分、月35時間減

自社に近いのは

打ち直している先が1つで、人手もIT担当もいないなら01に近い。基幹と会計のように入れ物が2つあり、どちらも捨てられないなら02。相手先ごとに書式が違うものを目で見比べているなら、転記ではなく照合の問題なので03に近い。

条件と手の対応はこの3本の範囲での観察で、同じ条件なら同じ手が正しいことを示すものではない。各社の成果は対象業務に限った数字で、会社全体の削減量ではない。

3社とも、入れ物は捨てていない

並べて見えた共通点は3つある。どの会社も既存のシステムを入れ替えていない。手を入れたのは、人が間に立って打ち直していたつなぎ目だけだ。次に、減ったのは入力の時間だけではなかった。きのしたでは月末に数字のずれを探す2日が、東海模型では早朝出勤が、メイコーでは月末残業が消えている。二度打ちの本当の費用は、打つ時間より、ずれを見つけて直す時間にあった。そして、3社とも自前で作り込んでいない。ロボットの構築は提供元のサポートに、連携はノーコードのツールに、照合は専用システムのパターン登録に任せている。この3本の範囲では、二重入力は技術の問題より、何を残して何を任せるかを決める問題に見える。次の一歩は、自社で同じものを二度打っている箇所を書き出し、その間にあるのが人の転記か、2つのシステムか、相手先ごとに違う書式かを見分けることだ。それが分かれば、上の表のどの列に近いかが決まり、読むべき事例も決まる。

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記事で取り上げた事例で導入されていたサービスの一覧です(掲載データに基づく表記で、優劣や推奨を示すものではありません)。

Robo-Pat AIfce-pat ・ RPA・業務自動化記事内の事例 →
ASTERIA Warptotec-sangyo ・ 業務SaaS記事内の事例 →
Victory-ONE【検収照合】r-ac ・ 業務SaaS記事内の事例 →
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