事例セレクション#029
2026.10.17

出張のたびに、人事がメールで旅行代理店と往復していた。
出張手配と旅費を一か所に集めた、条件の違う3社の事例3選

出張の仕事は、出張そのものより前後に多い。手配を頼み、変更を伝え、帰ってきたら旅費を申請し、規定に合わなければ差し戻される。Gengoでは人事部が海外出張の手配を旅行代理店とメールで往復し、ぺんてるでは複雑な旅費規定のせいで差し戻しが毎月約50件出ていた。NTT ExCパートナーはグループ約50社に同じ旅費システムを配る側だった。3社の手は分かれる。手配のやり取りをチャットの一覧に移す、規定のチェックをシステムに書く、基盤を改修せずに画面へ制度の案内を足す。月に2〜3名の渡航からグループ約11万名まで、出張の規模が小さい順に並べた。自社はどの会社に近いか。

選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例6,605件のうち、出張の手配や旅費の申請・精算に課題文で触れている事例は18件、数値成果が公開されているものは12件。そこからWeb会議で出張そのものを減らした型(別の10選で扱っている)を除き、手配・精算・システムの標準化という出張まわりの工程を変えた事例で、提供元(ベンダー)が重ならない3本を、出張の規模が小さい順に編集部が選んだ。3本のうち成果の数字が公開されているのは01と02で、03の成果は事例の定性的な記述に基づく。順位ではなく並列の「選」であり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。数字と事実はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。

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01月2〜3名の海外出張の手配を、メールの往復からチャットの一覧に移した

株式会社Gengo ・ IT・ソフトウェア

翻訳のクラウドソーシングを手がけるGengoでは、役員以外の社員の海外出張が増え、人事部が出張規定に基づいて手配するなかで出張間際の変更に対応しきれず、旅行代理店とのメールと電話のやり取りは返事が遅かった。月の渡航者は平均2〜3名。メール中心の旅行代理店から、チャットで相談できる出張手配クラウドBORDERに切り替え、案件ごとにスレッドを分けてチャット履歴を残し、手配依頼を一覧で見られるようにした。人事部門が出張手配に感じていた心理的な負荷は80%から20%に下がり、社外に出張専用のスタッフがいるような安心感が得られた。

人事部門の出張手配への心理的負荷
80%から20%削減
チャット形式の出張相談で人事部門の業務負荷を80%から20%に削減この事例の詳細を読む →

02毎月約50件の差し戻しが、旅費規定をシステムに書いたら3分の1になった

ぺんてる株式会社 ・ 製造業 ・ 大企業

文具メーカーのぺんてるでは、旅費規定が複雑なため経理の経費チェックに工数がかかり、申請の誤りによる差し戻しが毎月約50件発生していた。システムはモバイルに対応しておらず、マスタの保守も負担だった。intra-mart基盤の上に経費精算ソリューションを入れ、標準の経費規定自動チェック機能に加えて、自社の手当計算を案内する手当ナビゲーション機能を実装し、アジャイル開発で要件定義の期間を従来の半分にした。差し戻し件数は従来の3分の1に、申請書の作成時間は30分から約21分に減り、複雑だった日当計算が簡単になった。

差し戻し件数
従来の3分の1削減
申請書作成時間
30分→3割減(約21分)
経費精算システム刷新で差し戻し件数を約70%削減、申請書作成時間も3割削減この事例の詳細を読む →

03約50社に同じ旅費システムを配り、基盤は改修せずに画面へ制度の案内を足した

株式会社NTT ExCパートナー ・ IT・ソフトウェア ・ 大企業グループ(NTTグループ)

NTT ExCパートナーは、市販SaaSの勤務管理旅費システムをNTTグループの共通ITサービスとして、約50社・約11万名(2025年度予定)に導入する側だった。業務運用を標準に合わせる方針のもと、多額の改修はせずに、各社の使い方に合わせて操作性を上げる必要があった。基盤システムには手を入れず、画面の上にBizFront/SmartUIを重ねて、業務のナビゲーション、入力画面への手当や休暇の制度説明とリンクの表示、誤入力時のリアルタイムの注意喚起、プルダウンの制御を実装した。誤申請は防げるようになり、問い合わせは軽減された。削減の数字は公開されていない。複数の会社に一つの仕組みを配るときの1本。

誤申請の防止
達成達成
問い合わせ削減
軽減軽減
市販SaaSのUI改善で、グループ勤務管理システムの標準化を実現。誤申請防止と問い合わせ削減を達成この事例の詳細を読む →

3社を比べる

同じく出張の手配や旅費の申請に手間がかかっていた3社を、出張の規模が小さい順に並べた。動かせなかった条件と、一か所に集めたもの、取った手を行にしている。

01株式会社Gengo02ぺんてる株式会社03株式会社NTT ExCパートナー
規模月の渡航者2〜3名、人事部が手配大企業、差し戻しが月約50件グループ約50社・約11万名(予定)
現場の制約出張間際の変更が多い旅費規定が複雑で手当計算が難しい基盤を多額に改修できない
一か所に集めたもの手配の依頼とやり取りの履歴旅費規定のチェックグループ各社の旅費システム
取った手チャット型の出張手配クラウドに切替規定の自動チェックと手当ナビを実装基盤はそのまま画面に案内と制御を足す
成果手配の心理的負荷80%→20%差し戻し3分の1、申請30分→約21分誤申請の防止、問い合わせ軽減(数字なし)

自社に近いのは

出張が月に数人で、間際の変更に人事や総務が追われているなら01に近い。規定が複雑で、差し戻しが毎月決まった数だけ出るなら02。複数の会社や拠点に同じシステムを配り、改修なしで定着させたいなら03。

条件と手の対応はこの3本の範囲での観察で、同じ条件なら同じ手が正しいことを示すものではない。成果の数字が公開されているのは01と02で、03は定性的な記述にとどまる。

出張を減らした会社は、一社もない

3社とも、出張の数を減らしたのではなく、出張にまつわる情報の置き場所を一つに決めている。Gengoは手配の依頼とやり取りを案件ごとのスレッドに、ぺんてるは旅費規定と手当の計算をシステムのチェックに、NTT ExCパートナーは手当や休暇の制度説明を入力画面そのものに置いた。もうひとつ見えるのは、申請する人の手元に案内を置いた点だ。ぺんてるの手当ナビゲーションも、NTT ExCパートナーの業務ナビゲーションと誤入力時の注意喚起も、経理や人事が後から直すのではなく、入力するその場で間違いを減らしている。Gengoも人事がチャットで相談しながら手配を進める形で、問い合わせの往復を短くした。この3本の範囲では、出張の前後にかかる時間は、規定を厳しくするより、規定を入力の場所に持ってくるほうが減っている。次の一歩は、自社の出張で一番往復が多いのが手配か、精算の差し戻しか、制度の問い合わせかを分けること。分けた先の条件を上の表に当て、近い1社の事例を読むと、何を一か所に集めるかの見当が付く。

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この記事に登場したサービス

記事で取り上げた事例で導入されていたサービスの一覧です(掲載データに基づく表記で、優劣や推奨を示すものではありません)。

BORDERborder ・ 業務SaaS記事内の事例 →
imforce/経費精算ソリューションintra-mart ・ 業務SaaS記事内の事例 →
BizFront/SmartUIntt-tx ・ 業務SaaS記事内の事例 →
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