事例セレクション#029
2026.10.17

辞める人を、話して止めた会社、シフトで止めた会社、センサーで止めた会社。
離職率に別の場所から手を入れた事例3選

人が辞めるたびに、給料か、採用の見極めか、本人の問題かを疑う。この3社は、どれでもない場所を見ていた。コンタクトセンターでは入所90日以内の離職率が28.5%で、辞めるのは専門知識を覚え始めた初期の人だった。焼肉店ではアルバイトがシフト希望を紙で出し、店長がそれを手で入力し直していた。介護施設では夜勤の職員が排泄介助の最中に、別の部屋の離床に気づけない不安を抱えていた。3社が手を入れたのは、管理者との対話、シフトの出し方、夜勤の見守りで、互いにまったく別の場所にある。それでも結果は同じ指標に出た。早期離職率は0%に、アルバイトはオープンから離職者ゼロ、介護施設はその年度の離職者ゼロ。同じ指標に、別の場所から届いた3本を並べた。

選定の基準と範囲:当サイトの掲載事例5,469件のうち、離職率・定着率・離職者数が成果として数値で公開されている事例は8件。そのうち、打ち手が業務の別の場所(管理者との対話、シフトの出し方、夜勤の見守り)にあり、互いに重ならない3件を編集部が選んだ(別テーマの10選で取り上げた事例は除く)。10本に満たないため3選とし、順位ではなく並列の「選」として並べた。3件は業種もベンダーもそれぞれ異なり、製品の優劣や市場の代表性を示すものではない。離職の原因は各社の公開情報の範囲でしか分からず、他社に同じ打ち手が効くかどうかはこの3本からは言えない。数字はいずれも各事例の公開情報に記載のもので、対象・期間は各事例記事から確認できる。

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01新人と週に1回話すようにして、90日以内に辞める人がいなくなった

トランスコスモス(CXスクエア名古屋) ・ IT・ソフトウェア

トランスコスモスのCXスクエア名古屋は、建設業向けソフトウェアのヘルプデスク窓口で、入所90日以内の早期離職率が28.5%に達していた。辞めるのは専門知識を覚え始めた初期段階のオペレーターで、管理者と話す時間が足りていなかった。1on1ツールを入れ、新しく配属されたオペレーターとは週1回、研修を終えたオペレーターとは1か月半に1回の面談を置き、自動で作られる議事録で全管理者が悩みを共有できるようにした。研修の一部は動画化して管理者の負担を減らした。早期離職率は28.5%から0%に、従業員満足度は58%から78%に、研修プロセスあたりの管理者工数は31.7時間減った。オペレーターからは、こんなにフォローが手厚い職場は初めてだという声が出た。

入所90日以内の早期離職率
28.5%→0%
従業員満足度
58%→78%
1on1コミュニケーションツール導入でオペレーターの早期離職率を28.5%から0%に改善この事例の詳細を読む →

02シフト希望をスマホから出せるようにして、オープンから誰も辞めていない

溶岩焼肉 牛楽 鶴田町店 ・ 飲食・食品

溶岩焼肉 牛楽 鶴田町店は、新店舗のオープンに向けてシフト管理の仕組みが必要だった。それまでは紙でシフト希望を集めて手作業で入力し直し、人手が足りない日の調整にも時間を取られていた。アルバイトが携帯からシフト希望を直接申請できるようにし、店長側の転記をなくした。メール機能で日報と売上情報の共有も同じ場所にまとめた。シフト作成は1〜2日から30分以下に。アルバイトの定着率は100%で、オープンから離職者が出ていない。シフトを出すストレスが減り、若い層も積極的に使うようになった。辞めない理由が、シフト表の作り方の中にあった。

シフト作成時間
1〜2日→30分以下
アルバイト定着率
100%(オープンから離職者ゼロ)
シフト作成時間を1〜2日から30分以下に短縮、アルバイト定着率100%を実現この事例の詳細を読む →

03夜勤の不安をセンサーに持たせて、その年度の離職者がゼロになった

医療法人カワムラメディカル 介護老人保健施設けんこう・ふらの ・ 医療・介護 ・ 介護施設

カワムラメディカルの介護老人保健施設けんこう・ふらのでは、夜間は限られた人数で見守りをしていて、排泄介助などの対応中に他の利用者の離床に気づけない不安が職員にあった。体重測定のたびに入居者を一人ずつ移乗する身体的な負担も大きかった。荷重センサー型の見守りシステムを令和2年度に29床へ全床導入し、令和3年にはグループ全体の65床に広げた。利用者の状況はパソコンの画面で一元的に見え、体重はベッドの上で測れる。令和3年度の離職者はゼロになり、夜勤職員から出ていた負担の声は大幅に減った。辞める理由が、夜の不安だった。

離職者
令和3年度ゼロ達成
夜勤職員からの負担を示す声
大幅減少
見守りライフ導入で夜間業務の不安軽減と離職ゼロ達成この事例の詳細を読む →

辞める直前の場面を、一つだけ変えた

3本を並べると、離職率という同じ指標の裏に、まったく別の場面がある。コンタクトセンターでは専門知識を覚え始めた最初の90日、焼肉店では毎月シフト希望を出す瞬間、介護施設では排泄介助の最中に別の部屋が気になる夜勤。3社とも、辞める人の属性や給与ではなく、辞める直前に本人が立っていた場面を特定して、その場面だけを変えている。3本の本文に、給与や待遇を変えた記述は出てこない。もう一つの共通項は、変えた結果が本人の手元に毎日か毎週届くことだ。週1回の面談、スマホで出すシフト、画面で見える離床。年に一度の制度ではなく、辞めようか迷う日に効く頻度で置かれている。次の一歩は、最後に辞めた人が、辞める前の1か月に何に困っていたかを一つ書き出すこと。それが対話か、手続きか、不安かで、この3本のどれに近いかが決まる。ただし、離職の原因は公開情報の範囲でしか分からない。3社の打ち手が効いたのは、その職場の場面と合っていたからで、同じ打ち手が別の職場で効くかはここからは言えない。

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tra:lientranscosmos-cotra ・ 業務SaaS記事内の事例 →
シフターciftr ・ 業務SaaS記事内の事例 →
見守りライフtotec-mlife ・ IoT・センサー記事内の事例 →
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