
修正を前提とした「モジュール型」で設計する 一度作って終わらせない、コンテンツ資産化の考え方
多くの企業がコンテンツ制作でつまずく理由は、
「一度作ったら終わり」という前提で設計してしまうことにあります。
動画、資料、Webページ、展示会コンテンツ。
どれも制作時点では完成度が高くても、
時間が経つにつれてこうした問題が必ず起きます。
- 製品仕様が変わった
- 価格や訴求ポイントが変わった
- 想定していた顧客層とズレてきた
- 営業現場から「ここが使いづらい」と言われ始めた
そのたびに
「全部作り直すのは大変だから、今回はこのままでいいか」
という判断が積み重なり、
結果として古くて使われないコンテンツが社内に溜まっていきます。
この問題を根本から解決する考え方が、
修正を前提とした「モジュール型」設計です。
モジュール型とは何か?
モジュール型とは、
コンテンツを「一つの塊」として作るのではなく、
部分的に差し替え可能なパーツ構造として設計する考え方です。
ポイントはシンプルです。
- 変わらない部分(不変)
- 変わりやすい部分(可変)
この2つを最初から分けて作る。
完成形だけを見て作るのではなく、
「将来、どこが壊れやすいか」を先に考えておく設計思想とも言えます。
なぜ「一塊コンテンツ」は危険なのか
従来よくある失敗例がこちらです。
- 会社紹介から製品説明、導入事例までを1本の動画にまとめる
- 展示会用スライドを1ファイルで完結させる
- Webページにすべての情報を詰め込む
このやり方の問題点は明確です。
1つでも内容が変わると、
全体に手を入れなければならなくなる。
特に製造業BtoBでは、
- 製品の機能・仕様は頻繁にアップデートされる
- 顧客の関心テーマも年々変化する
- 市場環境や競合状況も固定ではない
にもかかわらず、
「全部つながった構造」で作ってしまうと、
修正コストが一気に跳ね上がります。
結果として、
- 更新されない
- 使われなくなる
- 「作った意味がなかった」状態になる
これがコンテンツが資産にならない最大の理由です。
具体例:会社紹介動画をモジュール化する
分かりやすい例として、
会社紹介動画を考えてみましょう。
よくある構成は次のような流れです。
- 会社概要
- 業界の課題
- 自社の強み
- 製品紹介
- 導入事例
一見きれいですが、この構成を一本の動画で作ると、
最も変わりやすい「製品紹介」が足を引っ張ります。
そこで、モジュール型ではこう分けます。
不変モジュール(共通パーツ)
- 業界全体が抱えている構造的な課題
- 会社の思想・スタンス
- なぜこの分野に取り組んでいるのか
→ 数年単位でほとんど変わらない
可変モジュール(差し替えパーツ)
- 製品の機能説明
- UI・操作画面
- 最新の導入事例
→ 半年〜1年で変わる可能性が高い
この2つを別々に撮影・編集しておくことで、
- 製品がアップデートされたら
→ 機能紹介パート(1〜2分)だけ差し替える - 新しい事例が出たら
→ 事例パートだけ追加する
という運用が可能になります。
モジュール型の本当のメリット
モジュール型のメリットは、
単なる「修正が楽」だけではありません。
1. コンテンツの寿命が伸びる
不変部分が軸として残るため、
全体を捨てる必要がなくなります。
2. 再利用が前提になる
- 展示会用
- Webサイト用
- 営業説明用
- 採用向け
同じパーツを組み替えるだけで、
用途別コンテンツが作れます。
3. 改善サイクルが回る
「このパートの反応が悪い」
→ そこだけ修正
という改善が可能になります。
モジュール型を前提に設計する時の思考順
制作に入る前に、必ず考えてほしい順番があります。
- この情報は「どれくらいの頻度で変わるか?」
- 変わった時、差し替えたい最小単位はどこか?
- 単体でも意味が通じる構造になっているか?
この3つを満たしていないと、
形式上モジュールでも、実運用では機能しません。
よくある失敗パターン
モジュール型を意識していても、
次のような失敗はよく起きます。
- パーツ同士のつながりが強すぎる
- 単体で見ると意味が分からない
- 結局編集で全部つなぎ直している
これは「設計」ではなく、
「分割しただけ」になっている状態です。
重要なのは、
各モジュールが単体でも成立すること。
まとめ:修正できる前提こそが、プロの設計
コンテンツは「完成品」ではなく、
運用され続ける道具です。
だからこそ、
- 完璧に作ること
- きれいにまとめること
よりも、
どこを、いつ、どう直すか
を先に決めておくことが、
長期的に見て圧倒的に重要になります。
修正を前提にした「モジュール型」設計は、
コンテンツをコストから資産に変えるための、
最も現実的で、再現性の高い方法です。




