BtoB企業で「営業が強い」のと「マーケが強い」の、どちらがつぶれにくいのか?

BtoB企業で「営業が強い」のと「マーケが強い」の、どちらがつぶれにくいのか?

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BtoBビジネスをしていると、こんな議論を耳にすることがあります。

「結局、営業が強い会社が最後は勝つよね」
「いや、属人的な営業力に頼る会社は、仕組みを持つマーケティング型の会社に負けるよ」

どちらも一理あります。
では実際、つぶれにくい(=安定して生き残りやすい)のはどちらなのかを、営業とマーケの特徴を比較しながら考えてみましょう。


🧩 営業が強い企業:短期的に売上を立てる力

営業が強い企業は、「人」が売上をつくる会社です。

  • 顧客企業と深い人間関係を築く
  • ヒアリング力・提案力で顧客の課題を引き出す
  • 信頼関係を背景に、クロージング力で案件をまとめる

こうした営業力があると、新規開拓でも既存深耕でも成果を出せるため、特に景気が悪いときや競争が激しいときに強さを発揮します。
実際、景気が落ち込んでも売上を維持しているBtoB企業は「営業力が強い」ケースが多いです。

しかし営業力には、構造的な弱点もあります。

  • 担当者が抜けると売上も一緒に落ちやすい(属人性)
  • 案件獲得に毎回コストがかかる(仕組み化しづらい)
  • リードが枯れると受注が止まり、資金繰りが一気に悪化する

つまり、営業が強い会社は短期的な売上確保には強いが、持続性には不安があるということです。


📣 マーケが強い企業:案件を“自動”で生み出す力

一方でマーケティングが強い企業は、「仕組み」で売上をつくる会社です。

  • ウェブサイト・SEO・ホワイトペーパー・展示会・広告などでリードを集める
  • MA(マーケティングオートメーション)でリードを育成する
  • 営業はホットリードに集中して提案する

この構造をつくることで、営業人数を増やさずに売上を伸ばせるようになります。
営業に依存せず、社内の誰でも同じ成果を出せる再現性があるのが強みです。

一方で、マーケ中心の会社にも弱点があります。

  • 成果が出るまでに時間がかかる(半年〜数年かかることも)
  • 初期投資が大きい(広告・制作・MAツールなど)
  • 市場や顧客ニーズが急変すると、仕組みが効かなくなる

つまり、マーケが強い会社は長期的には安定して伸びやすいが、立ち上げ期や不況期には脆い側面があります。


⚖️ つぶれにくいのは「営業→マーケ」へのシフトができる会社

営業とマーケは、どちらが正解というより成長フェーズに応じて役割が変わるものです。

  • 創業〜初期フェーズ
    → 営業ドリブンで売上を確保する
    → 社長や幹部が前線に立ち、顧客と信頼関係を築く

  • 成長〜成熟フェーズ
    → マーケドリブンでリードを自動獲得する仕組みを構築
    → 営業は「決めるだけ」に集中させる

つまり、営業とマーケは対立概念ではなく、補完関係にあります。

営業で得た顧客インサイトをマーケにフィードバックし、マーケで獲得したリードを営業で確実にクロージングする。
この「営業とマーケの分業と連携」ができている会社こそ、最もつぶれにくいのです。


⚠️ 営業偏重・マーケ偏重のリスク

参考までに、どちらかに偏った場合に起こりがちな失敗例を挙げます。

営業偏重型のリスク

  • 営業トップが退職して一気に売上が激減
  • 案件パイプラインが属人的で見えない
  • 常に新規開拓を追い続けて疲弊

マーケ偏重型のリスク

  • 広告やコンテンツ制作に投資し続けても成果が出ず、資金が尽きる
  • リードは集まるが、営業が育っておらずクロージングできない
  • 「数字はいいけど売上がない」状態に陥る

どちらも、「売上=キャッシュ」が切れると一気に倒産に直結します。


📊 営業力は短期の生命線、マーケ力は長期の成長線

つぶれにくさという視点でまとめると、以下のように言えます。

指標 営業が強い会社 マーケが強い会社
売上化スピード 早い 遅い
再現性 低い(属人) 高い(仕組み)
投資コスト 低い 高い
安定性 低い 高い
初期〜不況期
成長〜成熟期

※ 用語の意味合いは一般化した比較です。文脈により例外があります。

つまり、創業期や不況期に「営業力」で食いつなぎ、成長期に「マーケ力」で仕組み化する会社が、最もつぶれにくいというのが本質です。


📝 おわりに

BtoB企業にとって、「営業が強い」「マーケが強い」はどちらかを選ぶものではなく、フェーズごとにバランスを変える戦略です。

  • 営業力で目の前の売上をつくる
  • マーケ力で未来の売上をつくる

この二つの両輪を回し続けることで、目先の売上と将来の安定を両立できます。
どちらかに依存しすぎるとリスクが高まりますが、両方を組み合わせることで、BtoB企業はずっと潰れにくくなるのです。