SCOUTMANって誰?──BtoB営業に必要な8つの情報フレームワークとBANTとの違い

SCOUTMANって誰?──BtoB営業に必要な8つの情報フレームワークとBANTとの違い

BtoBMarketingコンテンツマーケティング製造業DXSales

BtoB営業をしていると、上司や先輩からこんな言葉をかけられたことがあるかもしれません。

「この案件、SCOUTMANそろってる?」
「BANT取れてる?」

最初は「スカウトマン?誰それ?」と笑ってしまうかもしれませんが、
実はこれは営業活動に必要な情報項目を整理するためのフレームワークのことです。

BtoB営業は、商談の規模も意思決定の関係者も多く、複雑になりがちです。
そんな中で、「この案件はどこまで進んでいるのか」「本当に受注できるのか」を見極めるために使われるのが、
SCOUTMANBANTのような「案件評価フレームワーク」なのです。


🧩 SCOUTMANとは何か

SCOUTMANは、営業活動において案件を評価・分析するための8つの視点を示した頭文字フレームです。
それぞれの文字は以下の言葉を意味します。

項目 意味 確認すべきポイント
S Simulation(シミュレーション) 提案や導入後のイメージを顧客と共有できているか 「導入後どう変わるか」を明確に描けているか
C Competition(競合) 競合他社や代替案の状況 他社比較の軸・優位性・負け筋を把握しているか
O Opportunity(機会) 案件の発生理由・背景 なぜ今この案件が生まれたのか、課題は何か
U Timeframe(期間) 予算化や導入までのスケジュール 稟議や予算タイミングはいつか
T Size(規模) 案件のボリューム感 売上規模・導入範囲・収益性を見極めているか
M Money(予算) 顧客の予算確保状況 予算があるか、誰が管理しているか
A Authority(決裁者) 意思決定権者の特定 誰が最終決裁を下すのか
N Needs(ニーズ) 顧客が抱える真の課題 顕在ニーズと潜在ニーズの把握

※ 横スクロールで全体を確認できます。

つまりSCOUTMANは、**「受注の確度を高めるために、営業が把握すべき8つの情報」**を体系化したものです。


🎯 なぜSCOUTMANが必要なのか

BtoBの営業現場では、
「案件は多いけど、どれが本命か分からない」
「見積まで出したけど、結局流れた」
という状況が頻発します。

その原因の多くは、**“情報の抜け漏れ”**です。
営業が「担当者の感触がいい」だけで案件を進めてしまい、
いざ稟議段階になると「実は競合が入っていた」「予算がなかった」といったケースに陥ります。

SCOUTMANは、こうしたリスクを防ぐ「チェックリスト」として機能します。
8項目を埋めていくことで、案件のどこにリスクがあるのかを可視化できるのです。

たとえば──

  • S(Simulation) が弱い:顧客が導入後をイメージできていない。提案書やデモを強化すべき。
  • M(Money) が不明:予算がなければ、いくら盛り上がっても案件化しない。
  • A(Authority) が不明:話している相手が決裁者でないなら、次の階層をどう攻めるか考える必要がある。

このように、SCOUTMANを使うことで、
営業は「次にやるべきアクション」が明確になります。


💡 SCOUTMANとBANTの違い

営業の世界では、SCOUTMANと似た枠組みとしてBANT情報があります。
これはIBMが提唱した古典的な営業フレームで、次の4つで構成されています。

項目 意味 内容
B Budget(予算) 予算はあるか 案件に対して予算が確保されているかを確認する
A Authority(決裁者) 決裁権は誰にあるか 意思決定の最終権限者を特定し、接点を持てているかを把握する
N Needs(ニーズ) ニーズはあるか 顧客がどんな課題を抱えており、どのような解決を求めているかを明確にする
T Timing(導入時期) いつ導入予定か 導入時期やスケジュール感を把握し、商談の優先度を見極める

※ 横スクロールで全体を確認できます。

BANTは非常にシンプルで、初期商談段階のスクリーニングに向いています。
つまり、「このリードは案件になり得るか?」を判断するためのフレームです。

一方でSCOUTMANは、BANTを発展させた“案件マネジメント用”フレームです。
BANTの要素を内包しつつも、より実践的・戦略的な情報を求めます。

比較項目 BANT SCOUTMAN
主な目的 案件化の判断 案件の精度向上・受注確度判断
情報数 4項目 8項目
対象フェーズ 初期(リード獲得直後) 中盤〜クロージング
重点項目 予算・決裁 競合・機会・シミュレーション・規模など

※ 横スクロールで全体を確認できます。

つまり、
BANTが「この案件はありそうか?」を判断するのに対し、
SCOUTMANは「どうすれば勝てるか?」を判断するためのものなのです。


🧠 実務での使い方

営業現場でSCOUTMANを活かすには、次の3つのステップが有効です。

① 案件ごとにSCOUTMAN表を作成

案件ごとに8項目を整理し、◎/○/△/×で評価します。
これにより、「どの案件がホットで、どこにリスクがあるか」が一目で分かります。

項目 評価 コメント
S(Simulation) デモ動画で導入後のイメージ共有済み
C(Competition) 他社も見積提出中
O(Opportunity) 新ライン立ち上げプロジェクト
U(Timeframe) 来期導入予定
T(Size) 1000万円規模の大型案件
M(Money) 来期予算に入る見込み
A(Authority) 技術部長止まり、役員承認未確認
N(Needs) 自動化ニーズが明確

※ ◎=非常に良い/○=良い/△=要改善 の目安です。

② 定例会議で共有する

営業チームでこの表を共有し、上司やチームメンバーがフィードバックします。
「Aが弱いから次回は決裁者を同席させよう」
「Cが危ういから競合対策資料を用意しよう」
といった具体的な次アクションに落とし込めます。

③ CRMやSFAに組み込む

SalesforceやHubSpotなどのCRMを使っている場合、
SCOUTMANの8項目をカスタムフィールドとして追加し、進捗管理に活用できます。
これにより、属人的な感覚営業ではなく、データに基づいた営業判断が可能になります。


🧩 Vizlabo型の応用──“Simulation”を武器にする

たとえば、あなたが製造業BtoBマーケティングを支援する「Vizlabo」のような事業をしている場合、
このSCOUTMANの中でも特に重要なのが「S:Simulation(シミュレーション)」です。

製造業の営業では、導入後のイメージを伝えることが非常に難しい。
機械の動作、レイアウト、操作性、導入効果──これらを言葉だけで伝えるのは限界があります。

そこで3DCGやデジタルツインを活用すれば、
「導入後の姿を可視化する=シミュレーション」を武器に、顧客との認識を一致させることができます。

言い換えれば、Vizlaboのようなサービスは、
SCOUTMANのSを極めた営業支援ツールなのです。


🧭 まとめ:SCOUTMANは「案件の地図」

BtoB営業の世界では、案件の数よりも「どれだけ正確に地図を描けるか」が重要です。
SCOUTMANの8項目は、その地図を描くための座標のようなもの。

  • BANTで「行く価値のある場所」を見つけ、
  • SCOUTMANで「どう攻めるか」を描く。

それが、現代の営業における情報活用の王道です。

もしあなたの商談メモやCRMに「SCOUTMAN」の欄がまだないなら、
今日からでも追加してみてください。
案件の見え方が、きっと変わるはずです。