
SCOUTMANって誰?──BtoB営業に必要な8つの情報フレームワークとBANTとの違い
BtoB営業をしていると、上司や先輩からこんな言葉をかけられたことがあるかもしれません。
「この案件、SCOUTMANそろってる?」
「BANT取れてる?」
正直、最初はこう思いますよね。
「……スカウトマン?誰?」と。
横文字だし、
略語だし、しかも意味を聞いても、なんだか曖昧でわかりずらい。
でもこのSCOUTMANやBANTを使いこなせると、営業の現場で効率的な動き方ができるようになるかもしれません。
営業の経験がある方なら必ず一度は経験したと思いますが、
・担当者の反応はいい
・打ち合わせも盛り上がった
・見積も提出した
「これは、いけそうだ」
……そう思っていた案件が、
数週間後、何の前触れもなく消える。
そんな経験、ありませんか?
なぜ、こういうことが起きるのか。
理由はシンプルです。
「情報が足りないまま、前に進んでいる」からです。
しかも厄介なのは、
その足りなさに、営業本人が気づきにくいことです。
・「感触はいい」
・「相手も前向きだと言っている」
──その感覚だけで、
案件が“進んでいるつもり”になってしまう。
成約に近づいていると思い込んでしまう。
BtoB営業は、
個人の熱量だけでは決まりません。
・誰が決めるのか
・いつ決まるのか
・何と比較されているのか
こうした情報が見えないままでは、
どれだけ頑張っても、最後で失速します。
そこで登場するのが、
SCOUTMAN や BANT といった
「案件評価のフレームワーク」です。
これらは難しい理論ではありません。
一言で言えば、
「この案件、進んでいるか?本当に買ってくれるお客さんなのか?」を確認するための地図です。
🧩 SCOUTMANとは何か
名前だけ聞くと少し大げさですが、
やっていることは、意外とシンプルです。
「この案件、本当に勝てそうか?」
その問いに答えるために、
営業が押さえておくべき視点を
8つに分解したフレームワーク。
それが SCOUTMAN です。
もう少し噛み砕きます。
BtoBの案件は、
関係者が多い
意思決定が遅い
途中で条件が変わる
という特徴があります。
だからこそ、
「一部の情報」だけ見て判断すると危ない。
SCOUTMANは、
案件を立体的に見るためのチェックリスト
と考えると分かりやすいでしょう。
では、その8つとは何か。
それぞれの頭文字が、
次のような意味を持っています。
| 項目 | 意味 | 確認すべきポイント |
|---|---|---|
| S Simulation(シミュレーション) | 提案や導入後のイメージを顧客と共有できているか | 「導入後どう変わるか」を明確に描けているか |
| C Competition(競合) | 競合他社や代替案の状況 | 他社比較の軸・優位性・負け筋を把握しているか |
| O Opportunity(機会) | 案件の発生理由・背景 | なぜ今この案件が生まれたのか、課題は何か |
| U Timeframe(期間) | 予算化や導入までのスケジュール | 稟議や予算タイミングはいつか |
| T Size(規模) | 案件のボリューム感 | 売上規模・導入範囲・収益性を見極めているか |
| M Money(予算) | 顧客の予算確保状況 | 予算があるか、誰が管理しているか |
| A Authority(決裁者) | 意思決定権者の特定 | 誰が最終決裁を下すのか |
| N Needs(ニーズ) | 顧客が抱える真の課題 | 顕在ニーズと潜在ニーズの把握 |
※ 横スクロールで全体を確認できます。
つまりSCOUTMANは、**「受注の確度を高めるために、営業が把握すべき8つの情報」**を体系化したものです。
表を読むときのポイント
この表は、
「全部そろっていればOK」というものではありません。
むしろ大切なのは、
どこが弱いのか
どこが見えていないのか
を把握すること。
たとえば、
Simulation が弱ければ
→ 顧客は、導入後を想像できていないかもしれない
Money が曖昧なら
→ そもそも案件化していない可能性がある
──そんなふうに、
次に打つべき一手を考えるための材料になります。
ここまで来ると、
こんな疑問が浮かぶかもしれません。
「それって、BANTと何が違うの?」
次の章では、
多くの営業が一度は聞いたことのある
BANTとの違いを整理していきます。
💡 SCOUTMANとBANTの違い
ここまで読んで、
こんな疑問が浮かんでいませんか?
「でも、それってBANTでよくない?」
正直、この反応はかなり自然です。
というのも、BANTは営業の世界では
あまりにも有名なフレームワークだから。
上司に言われたことがある人も多いはずです。
「まずBANT取ってこい」
「BANT揃ってない案件は追うな」
では、
BANTとは何だったのか。
一度、整理しておきましょう。
💡 BANTとは何か
BANTは、
IBMが提唱したとされる、
営業のための情報整理フレームです。
構成は、とてもシンプル。
Budget(予算)
Authority(決裁権)
Needs(ニーズ)
Timing(導入時期)
つまり、
「この案件、そもそも案件になりそう?」
を見極めるための4項目です。
| 項目 | 意味 | 内容 |
|---|---|---|
| B Budget(予算) | 予算はあるか | 案件に対して予算が確保されているかを確認する |
| A Authority(決裁者) | 決裁権は誰にあるか | 意思決定の最終権限者を特定し、接点を持てているかを把握する |
| N Needs(ニーズ) | ニーズはあるか | 顧客がどんな課題を抱えており、どのような解決を求めているかを明確にする |
| T Timing(導入時期) | いつ導入予定か | 導入時期やスケジュール感を把握し、商談の優先度を見極める |
※ 横スクロールで全体を確認できます。
BANTの強みは、
とにかく分かりやすいこと。
予算はあるのか
誰が決めるのか
課題は何か
いつ決めるのか
この4つが揃っていなければ、
どれだけ話が盛り上がっても
案件としては成立しません。
だからBANTは、
初期商談・リード選別には非常に向いています。
ただし。
ここで、
営業経験がある人ほど
うなずいてしまうポイントがあります。
「BANTは取れてた。
でも、負けた」
──そんな経験、ありませんか?
🤔 なぜBANTだけでは足りないのか
BANTが教えてくれるのは、
**「この案件は、土俵に上がれるか?」**まで。
でも、
「どうすれば勝てるか?」
までは教えてくれません。
たとえば、
競合は誰なのか
なぜ今、この話が出ているのか
顧客は、導入後を具体的に想像できているか
規模はどれくらいで、どこが一番おいしいのか
こうした情報は、
BANTには含まれていません。
言い換えると、
BANTは「入口のチェック」。
試合に出る資格があるかどうかを
確認するためのフレームなのです。
SCOUTMANは、
BANTの4要素を内包したうえで、
さらに踏み込みます。
競合はどこか(C)
案件が生まれた背景は何か(O)
導入後の姿を描けているか(S)
規模と収益性はどうか(T)
つまり、
案件を「立体」で捉えるためのフレームです。
| 比較項目 | BANT | SCOUTMAN |
|---|---|---|
| 主な目的 | 案件化の判断 | 案件の精度向上・受注確度判断 |
| 情報数 | 4項目 | 8項目 |
| 対象フェーズ | 初期(リード獲得直後) | 中盤〜クロージング |
| 重点項目 | 予算・決裁 | 競合・機会・シミュレーション・規模など |
※ 横スクロールで全体を確認できます。
つまり、
BANTが「この案件はありそうか?」を判断するのに対し、
SCOUTMANは「どうすれば勝てるか?」を判断するためのものなのです。
🤔 比較すると、こう違う
表を見ていただくと分かる通り、
BANT
→ 「この案件、追う価値ある?」
SCOUTMAN
→ 「この案件、どう攻めれば勝てる?」
という役割の違いがあります。
フェーズで言えば、
BANT:初期(入口)
SCOUTMAN:中盤〜終盤(戦略設計)
この使い分けができていないと、
営業はどうしても
**「感触頼み」**になります。
ここで一つ、大事なことを。
SCOUTMANは、
BANTの上位互換ではありません。
役割が違うだけです。
BANTで「行くかどうか」を決め
SCOUTMANで「どう勝つか」を考える
この順番が、
もっとも無理がありません。
もし今、
見積まで出るのに決まらない
案件数はあるのに受注率が低い
上司から「で、勝てるの?」と聞かれる
そんな状況なら、
それはもう BANTのフェーズを超えている
サインかもしれません。
次の章では、
このSCOUTMANを
実務でどう使うかを具体的に見ていきます。
🧠 実務での使い方
ここまで読んで、
SCOUTMANの項目自体は
「まあ、聞いたことあるな」と感じたかもしれません。
でも大事なのは、
知っているかどうかではありません。
**「案件を前にしたとき、使えているかどうか」**です。
① 案件ごとにSCOUTMAN表を作成
まずやってほしいのは、
案件ごとにSCOUTMANを並べて、
◎/○/△/× を付けること。
ここで一つ、重要な前提があります。
👉 全部◎にしようとしないこと。
むしろ、
△や×が見えることこそが価値です。
| 項目 | 評価 | コメント |
|---|---|---|
| S(Simulation) | ○ | デモ動画で導入後のイメージ共有済み |
| C(Competition) | △ | 他社も見積提出中 |
| O(Opportunity) | ◎ | 新ライン立ち上げプロジェクト |
| U(Timeframe) | ○ | 来期導入予定 |
| T(Size) | ◎ | 1000万円規模の大型案件 |
| M(Money) | △ | 来期予算に入る見込み |
| A(Authority) | △ | 技術部長止まり、役員承認未確認 |
| N(Needs) | ◎ | 自動化ニーズが明確 |
※ ◎=非常に良い/○=良い/△=要改善 の目安です。
この表は「進捗表」ではない
ここ、勘違いされがちなので強調します。
このSCOUTMAN表は、
進捗管理のための表ではありません。
「どこまで進んだか」ではなく、
「どこが危ないか」を見る表です。
実際の現場を想像してみてください。
打ち合わせは盛り上がっている
技術担当者の評価も高い
仕様もほぼ固まっている
この状態で、
A(Authority)が△ だったら?
──かなり、嫌な予感がしませんか。
③ ◎○△の意味を、現場言葉に翻訳する
ここで、
評価の「本当の意味」を整理しておきましょう。
◎(非常に良い)
情報が具体的
誰に聞いても説明がブレない
こちらから動かなくても話が前に進む
👉 もう一段、攻めに使える状態
○(良い)
方向性は見えている
ただし裏取りはまだ
条件が変わる可能性あり
👉 次の一手で◎にできる状態
△(要改善)
話は聞いているが、確証がない
担当者の「感覚」に依存している
想像や期待が混ざっている
👉 ここを放置すると、後半で必ず詰まる
この「△」こそが、
SCOUTMANを使う最大の理由です。
④ △が見えたら「次の質問」が決まる
SCOUTMANが強いのは、
△が出た瞬間に、
次に聞くべき質問が見えることです。
たとえば──
M(Money)が△
→「今回の話、来期予算に入れるとしたら、どの枠になりますか?」
A(Authority)が△
→「最終的に、この判断はどなたがされますか?」
C(Competition)が△
→「他にも検討されている選択肢はありますか?」
これ、
経験者ほど避けがちな質問ですよね。
でも、
ここを聞かずに進める方が、
後でよほど痛い。
⑤ 上司との会話が変わる
SCOUTMANを使うと、
上司との会話も変わります。
Before:
「どう?いけそう?」
「たぶん、いけると思います」
After:
「AとMが△です。次は決裁者同席を狙います」
「Cが弱いので、競合比較を出します」
──感覚ではなく、
構造で会話できるようになります。
これだけで、
営業としての信頼度は一段上がります。
⑥ SCOUTMANは「諦める判断」にも使う
もう一つ、
現場で本当に効く使い方があります。
それは、
「追わない判断」を早くすること。
Mが×
Aが見えない
O(機会)が弱い
この状態で
「頑張ればいけるかも」と追い続けるのは、
営業としては優しくても、
時間の使い方としては危険です。
SCOUTMANは、
諦めるための免罪符にもなります。
⑦ この表は、更新してナンボ
最後に。
SCOUTMAN表は、
一度作って終わりではありません。
打ち合わせ後
提案後
見積提出後
節目ごとに更新してください。
◎が増えているのか。
それとも△が増えているのか。
それが、
案件が前に進んでいるかどうかの本当の指標です。
🧩 Vizlabo型の応用──“Simulation”を武器にする
たとえば、あなたが製造業BtoBマーケティングを支援する「Vizlabo」のような事業をしている場合、
このSCOUTMANの中でも特に重要なのが「S:Simulation(シミュレーション)」です。
製造業の営業では、導入後のイメージを伝えることが非常に難しい。
機械の動作、レイアウト、操作性、導入効果──これらを言葉だけで伝えるのは限界があります。
そこで3DCGやデジタルツインを活用すれば、
「導入後の姿を可視化する=シミュレーション」を武器に、顧客との認識を一致させることができます。
言い換えれば、Vizlaboのようなサービスは、
SCOUTMANのSを極めた営業支援ツールなのです。
🧭 まとめ:SCOUTMANは「案件の地図」
BtoB営業の世界では、案件の数よりも「どれだけ正確に地図を描けるか」が重要です。
SCOUTMANの8項目は、その地図を描くための座標のようなもの。
- BANTで「行く価値のある場所」を見つけ、
- SCOUTMANで「どう攻めるか」を描く。
それが、現代の営業における情報活用の王道です。
もしあなたの商談メモやCRMに「SCOUTMAN」の欄がまだないなら、
今日からでも追加してみてください。
案件の見え方が、きっと変わるはずです。





