
営業に丸投げしない!製造業BtoBでリードの品質を高める『コンテンツ型リードクオリフィケーション』
営業がリードを抱えているという構造
製造業BtoBでは、多くの場合リードには最初から営業担当がついている構造になっています。
長期的な関係性構築が重視されるため、「担当営業」が企業ごとに割り振られており、
その営業担当があらゆる問い合わせや資料請求などのリード情報を一括管理しています。
この構造にはメリットもありますが、一方でリードマネジメントが属人的になりやすいという課題があります。
マーケと営業の間に生じるジレンマ
こうした状況では、マーケティング部門が獲得したリードを営業に丸投げするしかないように見えます。
しかし、そこには次のような問題が潜んでいます。
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リードの温度感が営業に伝わらない
→ 営業は優先度がつけられず、空振りが増える -
空振りが増えると営業はリードを追わなくなる
→ 「また冷たいリードだろう」と思われ、対応が雑になる -
インサイドセールスが勝手にコンタクトすると嫌がられる
→ 既存の営業関係がある顧客に無断連絡するとトラブルになる
つまり、営業に任せざるを得ないが、丸投げすると信頼を失うというジレンマに陥るのです。
解決策:「コンテンツでリードの品質を測る」
このジレンマを解消する方法として有効なのが、
リードが「どんなコンテンツを閲覧・回答したか」で温度感(品質)を判断するという考え方です。
閲覧・回答履歴が「関心度」を示す
リードが以下のようなコンテンツにどれだけ反応しているかを見ることで、
「なんとなく興味がある」から「具体的に検討している」まで、関心度を推測できます。
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ライトなコンテンツ(温度低)
- ブログ記事、展示会レポート、導入事例など
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やや手間のかかるコンテンツ(温度中)
- 資料ダウンロード、ウェビナー視聴、製品比較表
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能動的なアクションが必要なコンテンツ(温度高)
- 診断コンテンツ、ROIシミュレーション、課題ヒアリングアンケート
とくに「診断系コンテンツ」は、ユーザーが自分の状況を入力する必要があるため、
確度の高いリード(ホットリード)を見極める指標として非常に有効です。
診断コンテンツを活用したリードクオリフィケーション
なぜ診断コンテンツが効くのか
- 回答に手間がかかるため、本気度が高い層しか反応しない
- 回答内容から導入意欲や課題の深刻度を推測できる
- ユーザーにとっても「自分ごと化」できるためエンゲージメントが高い
たとえば以下のような診断コンテンツを用意します。
- 「御社の工場DX準備度チェック(10問)」
- 「設備導入検討の進捗ステージ診断」
- 「営業支援ツール導入適性診断」
こうした診断に反応したリードは、営業が優先してフォローすべき対象だと明確に伝えられます。
スコアリングで「確率」として見せる
リードが閲覧・回答したコンテンツ情報をスコアリングして、
営業に「確率(温度)」として可視化するのも重要です。
スコアリングの例
| コンテンツ種別 | スコア | 意味 |
|------------------|-------|------------------------------|
| ブログ閲覧 | 1点 | 関心の入り口 |
| 資料ダウンロード | 3点 | 比較検討フェーズに入りつつある |
| ウェビナー参加 | 5点 | 課題意識が高い |
| 診断コンテンツ回答 | 10点 | 明確な課題意識・導入意向 |
営業には「このリードは合計15点なので、検討フェーズに入っている」と伝えられます。
こうすることで、営業は“感覚”ではなく“数値”で優先度を判断できるようになります。
営業に「リードクオリフィケーション」の意識を根づかせる
製造業では「リードは営業が管理するもの」という文化が根強いため、
いきなり「スコアで追ってください」と言ってもなかなか浸透しません。
そのため、以下のように段階的に導入するのが効果的です。
- スコアを“参考情報”として提供する
- 営業判断を否定しない
- スコアが高いリードを重点的に追ってもらう
- 高スコアリードの成約率を定期的に共有する
- 「確かに当たっている」と実感してもらう
- 徐々にスコア中心の追客フローに移行する
営業が「確率が高い」と納得できれば、
マーケからのリードを信頼して追ってくれるようになります。
まとめ:リードを「温度」で語る文化をつくる
- 製造業BtoBでは、基本的に営業担当がリードを抱えている
- インサイドセールスが勝手に連絡すると、関係を壊してしまう危険がある
- しかし、丸投げすると温度感が伝わらず、営業が追わなくなる
- そこで、閲覧・回答コンテンツをもとにリードの品質を推測する
- 診断コンテンツやアンケートに反応したリード=ホットリードとして営業に渡す
- スコアリングで確率として可視化し、営業に納得してもらう