第一想起を狙え:BtoB SaaS企業が知名度を上げるためにやるべきメルマガ戦略

第一想起を狙え:BtoB SaaS企業が知名度を上げるためにやるべきメルマガ戦略

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「第一想起」とは、あるカテゴリーに関する質問を投げかけたとき、最初に思い出される企業やブランドのことを指します。
たとえば「動画配信サービスといえば?」と聞かれて「Netflix」と答えるように、特定の分野で最初に名前が出てくる状態です。

この「第一想起」は、購買意思決定に大きな影響を与える要素です。
特にBtoB SaaS領域では、選定候補に入るかどうかの段階で「聞いたことがある会社」かどうかが大きく作用します。逆に言えば、どれほど優れたサービスを提供していても、「知られていない」だけで検討テーブルに乗らないことも多いのです。


知名度を上げるために行われる高額プロモーション

第一想起をとるために、多くのBtoB企業は積極的に認知獲得型プロモーションを行っています。代表的なのが以下のような手段です。

  • タクシー広告
    都市部の経営層・意思決定者を狙って、タクシーの車内モニターに動画広告を流す施策です。到達率は限定的ですが、1インプレッションあたりの単価が非常に高い媒体でもあります。

  • 動画広告(YouTubeやCTV)
    業種に関係なく幅広い層に届く動画広告も、印象形成には有効です。「なんとなく聞いたことがある」という状態をつくることで、選定候補に入る確率を高めます。

  • 交通広告や屋外広告
    駅構内や電車内など、不特定多数に対する露出を目的とした広告です。即効性はないものの、長期的に露出を続けることでブランド連想を強化できます。

これらの施策は「ターゲット以外にも届いてしまう」という欠点がありますが、**目的が「想起されること」**である以上、幅広い露出はむしろ必要なのです。
ただし、莫大なコストがかかるのも事実。スタートアップや中堅SaaS企業が同じ戦い方をするのは現実的ではありません。


コストを抑えて第一想起を狙うなら「メルマガ」

そこで注目したいのが、**メルマガ(メールマガジン)**です。
一見地味で、開封率も低いと思われがちなメルマガですが、実は第一想起の形成に非常に効果的です。

なぜメルマガが有効なのか

  • 開封されなくても「見られている」
    メルマガは開封されなくても、タイトル(件名)は必ず目に入ります
    毎週届くメールの一覧に、自社名やカテゴリー名が並ぶだけでも、「あの分野といえばあの会社だな」という連想が無意識に形成されます。

  • 低コストで高頻度配信が可能
    メール配信は非常に安価で、工夫すれば週1〜週2ペースで長期継続できます。タクシー広告1回分の予算で、1年以上配信を続けられることも珍しくありません。

  • 配信対象を絞りやすい
    既存リードやホワイトペーパーDL者など、関係性のあるリストに届けることで、競合より一歩先に頭の中に居座ることができます。


メルマガで「カテゴリーと企業の関係性」を刷り込む

メルマガを単なる情報提供手段としてではなく、**「カテゴリーと企業名の紐づけ」**を目的として活用することが重要です。

タイトルにカテゴリー名を入れる

たとえば、あなたのサービスが「営業支援ツール」だとしたら、以下のような件名にするのが効果的です。

  • 「営業支援ツールの選び方|無料チェックリスト付き」
  • 「営業支援ツールで成果が出る企業の共通点」
  • 「【営業支援ツール】導入成功事例を公開」

こうすることで、開封されなくても**「営業支援ツール=この会社」**という連想を蓄積していけます。

コンテンツは使い回して構わない

「毎週メルマガなんてネタがない」と思うかもしれませんが、実は中身は見られなくても構わないので、過去記事や既存コンテンツを再利用して構いません。
むしろ、「ネタ切れ→配信停止」が一番の悪手です。
中身の鮮度よりも「名前を定期的に目にすること」が目的なので、タイトルだけ工夫してコンテンツをローテーションさせましょう。


メルマガを第一想起戦略に組み込む

最後に、実際にメルマガを第一想起形成のために組み込む際のポイントをまとめます。

1. 目的を「情報提供」ではなく「刷り込み」に設定する

メルマガを「読んでもらうため」ではなく「思い出してもらうため」と捉えることで、戦略が変わります。
開封率やクリック率よりも、「継続配信できているか」「カテゴリー名がタイトルに入っているか」をKPIにしましょう。

2. ブランドトーンを統一する

タイトルや署名、デザインなどは一貫したブランドトーンで統一します。これにより、件名を見ただけで「あの会社からだ」と認識されやすくなります。

3. 配信対象を絞り込む

一斉配信ではなく、関係性のあるリスト(名刺交換・セミナー参加・資料DLなど)に定期配信することで、選定候補に入る確率が高まります。


まとめ:低コストでも「第一想起」は狙える

タクシー広告や動画広告といった高額な露出手段は、確かに第一想起を獲得するうえで有効です。
しかし、BtoB SaaSにおいては、コストを抑えても「第一想起」を狙うことが可能です。

メルマガは派手ではないものの、「目に入る」「安い」「継続できる」という三拍子が揃った強力な武器です。
開封率が低くても構いません。
むしろ、開封されなくても存在を刷り込めるという点が、第一想起形成の観点からは最大の強みです。