第一想起がとれないとき、どう戦うか?

第一想起がとれないとき、どう戦うか?

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BtoBマーケティングにおいては、業界や商材ごとに「第一想起をとること」が最重要です。
検討のスタート地点に入ることができれば、営業リストに載り、比較検討に持ち込める。これがビジネス上の最大の優位になります。

しかし、現実にはマーケティング予算は限られており、競合の予算をこちらで操作することはできません。第一想起をとれない状況は、必ず起こりうるのです。

では、そのときにどう勝負すべきか?


第一想起の重要性

第一想起とは「ある商材やサービスを検討するときに最初に思い浮かぶブランド」のことです。
BtoBでは購買サイクルが長く、検討リストに入れる段階から競争が始まります。そのため、第一想起をとることができれば有利に商談を進められます。

  • 第一想起に入れば → 必ず比較検討のテーブルにつける
  • 第一想起から外れると → 最初から候補外にされ、そもそも話す機会を失う

だからこそ大手企業は、莫大な予算を投じて広告や展示会、メディア露出で第一想起を独占しようとします。


でも、必ずしも第一想起はとれない

現実にはこうした課題があります。

  • 自社のマーケティング予算が限られている
  • 競合の広告出稿量や露出を操作することはできない
  • そもそも業界内に強固なブランドを持つ企業が存在する

つまり、「第一想起をとれない状況」は必ず起こりうるのです。


インサイトを深掘りする「N=1アプローチ」

そこで有効なのが N=1インタビューを徹底して行い、顧客インサイトを精緻化すること です。

  • 「この業界はDXに困っている」といった抽象的な話ではなく、
  • 「この役職の担当者が毎週の報告資料作成でどんなストレスを抱えているか」まで具体的に掘り下げる。

こうして得られたインサイトをもとに、コンテンツを制作します。
ユーザーが「これは自分のために書かれている」と思えるレベルまで踏み込むことが重要です。


自分ごと化されたコンテンツの強み

第一想起をとれなくても、コンテンツが「自分ごと」として響けば、候補リストに載る確率は高まります。

  • 刺さるコンテンツは、少数でも強烈に印象に残る
  • 購買検討の後半で「決め手」となる可能性がある
  • インサイトに基づく内容は競合に模倣されにくい

つまり、第一想起を独占できなくても、「比較リスト入り」や「最後の一押し」で勝負できるのです。


なぜ自分ごと化されたコンテンツは刺さるのか

広告などでも、いかに接触した人に自分ごと化させるかが重要ということはよく言われる話です。

では、なぜ自分ごと化がそれほどまでに重要なんでしょうか?

その理由は簡単でみんな、自分のことが一番興味あるからです。

自分ごと化されたコンテンツが刺さるのは、単に「面白い」や「役立つ」以上に、自分の人生や仕事に直結するイメージを持てるからです。
たとえばBtoBマーケティングにおいても、「業界全体の最新トレンド」よりも「自社の課題にどう当てはまるか」のほうが行動を動かす力があります。

さらに、人は「自分に関係ある」と思った瞬間に注意深く情報を受け取るモードに切り替わります。逆に言えば、どんなに優れたコンテンツでも「自分には関係ない」と感じた途端に、情報は流れていってしまうのです。

だからこそ、刺さるコンテンツをつくるには以下の要素が欠かせません。

具体的な状況描写:読者が「これ、うちのことだ」と思えるシナリオ

課題の明確化:抱えている悩みを言語化して代弁すること

解決策の提示:課題に対して実践可能な道筋を示すこと

感情への訴求:不安や希望といった感情に触れること

つまり「自分ごと化」とは、読者に「これは自分の課題だ」「今すぐ役立つ」と思わせるための設計そのもの。これがあるから、コンテンツが単なる情報提供にとどまらず、行動変容につながるわけです。


量ではなく、深さで戦う

第一想起の争奪戦は「量」の勝負になりがちです。露出回数を競う世界では、大手が圧倒的に有利です。
一方、N=1に基づくインサイトは「深さ」で戦えます。

  • 広告量では負けても、理解度で勝てる
  • 汎用的なメッセージではなく、顧客の生活や業務の細部に食い込む
  • 少ないリソースでも差別化が可能になる

まとめ

BtoBマーケティングにおいては、第一想起をとることが最大のゴールです。
しかし、現実的にはすべての企業がそこに入れるわけではありません。

だからこそ、第一想起をとれないときの勝ち筋が重要です。
N=1インタビューで顧客インサイトを徹底的に深掘りし、ユーザーが「まさに自分のことだ」と感じられるコンテンツを届ける。
それが、限られた予算でも成果を出すための現実的かつ強力なアプローチなのです。