商品の二つのタイプ-ソリューション型」と「コモディティ型」-

商品の二つのタイプ-ソリューション型」と「コモディティ型」-

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マーケティング戦略を立てるとき、最初に直面する問いがあります。
「私たちの商品は、いったいどんなタイプなのか?」

答えを誤れば、どれだけ考え抜いた施策も空振りに終わるかもしれません。
方向性が曖昧なまま走り出せば、労力をかけても「なぜ成果が出ないのか」という迷路に迷い込むでしょう。

商品には無数の分類方法がありますが、マーケティングの文脈で重要なのが 「ソリューション型」と「コモディティ型」 の二つ。
この二つはまるで正反対の性質を持ちながらも、実際のビジネス現場ではしばしば混ざり合います。


ソリューション型商品 ― 解決を売るということ

ソリューション型とは、単なる「モノ」ではなく 「問題を解決する仕組み」 を売る商品です。
顧客が抱える課題に合わせて姿を変え、製品・サービス・サポートを一体として提供します。

特徴を挙げるならこうです。

  • カスタマイズ可能性:顧客の悩みに応じて変幻自在に形を変える
  • 高付加価値:単なる製品以上に「知識」や「サポート」を含む
  • 長期関係:一度の購入で終わらず、信頼を土台に取引が続いていく

事例:製造業のBtoBソリューション

ある産業機械メーカーは、単に「機械」を販売するのではなく、

  • 生産ライン全体の効率化コンサルティング
  • 導入後の保守・トレーニング
  • 生産データの分析サービス

をセットにして提供しています。

顧客にとっては「機械を買う」ではなく「工場全体の課題を解決する」ことが購入の目的。
そのため価格競争に巻き込まれることなく、安定した利益を確保しています。


コモディティ型商品 ― 価格競争の荒野

一方でコモディティ型はどうでしょう。
こちらは「解決策」ではなく、「基本性能を満たす標準品」 として存在します。

  • 低コスト:価格の安さこそが最大の武器
  • 大量生産:広く薄く流通し、市場を埋め尽くす
  • 差別化困難:商品間の違いはほとんどなく、顧客は価格で決める

コモディティ型は、いわば砂漠の中の無数の砂粒。
一粒ひとつぶを見分けるのは難しく、だからこそ企業は「価格」という武器で戦わざるを得ないのです。


事例:オフィス用品の世界

コピー用紙やUSBメモリを思い浮かべてみてください。
基本性能に大きな違いはなく、顧客は 「どこで買えば安いか」 を基準に選びます。

この市場では、製品そのものでは差別化が難しく、

  • 大量仕入れによる価格メリット
  • 配送スピード
  • ポイントや会員制度

といった「周辺サービス」で差をつける戦略が主流になります。


謎を解く ― あなたの商品はどちらか?

ここであなたに問いを投げかけます。
「あなたの商品はソリューション型でしょうか? それともコモディティ型でしょうか?」

実は、この問いに単純な二択の答えはありません。
なぜなら 純粋なソリューションも、完全なコモディティも存在しない からです。

多くの商品はその間に位置し、どちらの要素を「より強く持っているか」で戦略が変わります。
同じ製品でも、扱い方次第で「砂粒」にも「宝石」にもなり得るのです。


比較の視点

  • 価値提案
     ソリューション型:課題を解決する総合的な価値
     コモディティ型:低価格で基本ニーズを満たす

  • 顧客関係
     ソリューション型:長期的な信頼とパートナーシップ
     コモディティ型:短期的な売買、価格で決まる関係

  • 収益モデル
     ソリューション型:高付加価値で高い利益率
     コモディティ型:薄利多売、大量販売で成立


まとめ ― バランスを見極める目

ソリューション型は確かに利益率が高く、理想的に見えます。
しかしBtoB市場では顧客も専門家であり、こちらにも深い知識とノウハウが求められる。
一方コモディティ型は労力に対して利幅が薄い。

結局のところ重要なのは、「どちらの比重が大きいのか」 を冷静に見極めること。
完全なソリューションもなければ、完全なコモディティもない。
その曖昧さこそがビジネスのリアルであり、そこにこそマーケティングの妙味が隠されています。

あなたの商品は、どの位置に立っているのでしょうか?
この問いに答えを出すことが、次の一手を決める鍵になります。