
B2B製造業の営業担当者が陥る「罠」――あなたは「面談」をしているか、それとも「商談」をしているか?
B2B製造業の営業現場で、次のような悩みを抱えている人は少なくありません。
- 引き合いは多く、毎日忙しく外出(あるいはWeb会議)しているのに、受注が伸びない
- お客様とは仲が良く、技術的な話も盛り上がるが、見積を出すと検討が止まる
- 「もう少し社内で検討します」と言われたまま、その後連絡が来ない
これらの原因の多くは、「面談」と「商談」を区別できていないことにあります。
特に、製品単価が高く、検討期間が長いB2B製造業(産業機器、FA機器、部品メーカーなど)では、
「会って話している=前に進んでいる」という錯覚が生まれやすい。
しかし実際には、営業リソースが成果に結びつかない時間に消えているケースが非常に多いのです。
本記事では、
- 面談と商談の決定的な違い
- 製造業で「面談地獄」に陥る構造的な理由
- 面談を商談に切り替える判断基準と質問
を整理し、営業活動の質を一段引き上げる視点を解説します。
定義の明確化:面談と商談の決定的な違い
まず、言葉の定義をはっきりさせましょう。
面談(Interview / Meeting)とは「情報の交換」
面談の主役は過去と現在です。
- これまでどんな課題を抱えてきたのか
- 現在の設備・運用・制約条件は何か
- 自社はどんな技術・実績を持っているのか
このフェーズの本質は「相互理解」です。
信頼関係を築くための種まきの時間と言えます。
重要なのは、面談自体は受注を生まないという点です。
商談(Business Negotiation)とは「意思決定の合意」
一方で、商談の主役は未来です。
- この設備を導入すると、どんな効果が出るのか
- 投資に対するROIは見合うのか
- いつ導入し、いつ稼働させるのか
- 価格・仕様・納期・契約条件に合意できるのか
商談とは、「買う」という意思決定を成立させるプロセスです。
言い換えれば、収穫のフェーズです。
面談と商談の比較
| 比較項目 | 面談(Mendan) | 商談(Shodan) |
|---|---|---|
| 時間軸 | 過去・現在 | 未来 |
| 主な話題 | 技術、課題、情報交換 | 価格、納期、ROI、契約 |
| 営業の役割 | ヒアリング・説明 | 提案・意思決定支援 |
| 成否の判断 | 次の打ち合わせ | 合意・受注 |
製造業特有の「面談地獄」に陥る理由
製造業の営業は、構造的に「面談」が長くなりがちです。
① スペック確認の重要性
FA機器や部品の世界では、
「だいたい合っている」
「あとで調整できる」
は許されません。
そのため、技術的なすり合わせ(=面談)に時間がかかるのは必然です。
② 現場主義(三現主義)の文化
- 現場を見る
- 現物を見る
- 現実を確認する
この文化により、検討初期の顔合わせや下見の打ち合わせが増えやすくなります。
③ 「相談役」になる心地よさ
「詳しい営業さん」として頼られるのは嬉しいものです。
しかし、ここに大きな落とし穴があります。
頼られていることと、買われることは別です。
相談役で終わる営業は、会社にとってはボランティアになってしまいます。
「面談」を「商談」に昇格させる3つの条件
次の3つが揃った瞬間を、「商談への入り口」と定義しましょう。
① BANT情報が具体化しているか
- Budget(予算):すでに予算化されているか
- Authority(決裁権):誰が決めるのか見えているか
- Needs(必要性):なくては困る状態か
- Timeframe(時期):「いつか」ではなく期限があるか
特に製造業では、NeedsとTimeframeが曖昧な案件は、ほぼ面談止まりです。
② 「現状の不利益」に合意できているか
「導入すると良さそう」ではなく、
- このままだと何が困るのか
- どんな損失が出続けるのか
を、顧客自身の言葉で語れているかが重要です。
③ 競合比較が始まっているか
「他社と比べてどうですか?」
この質問が出たら、顧客は選定フェーズに入っています。
【実践】面談か商談かを見極める「魔法の質問」
フェーズが分からないときは、打ち合わせの最後に次の質問をしてください。
仮に、本日お話しした技術的な課題がすべてクリアされたとしたら、
御社ではいつ頃、どの程度の規模での導入をご検討されますか?
反応別の判断
-
「まだ分からない」
→ 面談フェーズ -
「来期予算で、まずは10台。4月稼働」
→ 商談フェーズ
答えが出るかどうかで、今の立ち位置が明確になります。
製造業における「戦略的・面談」の活用法(Vizlaboの視点)
重要なのは、面談をなくすことではなく、効率化することです。
- バーチャル展示会
- 技術解説動画
- デジタルデモ
を活用すれば、情報交換フェーズの多くをオンラインで完結できます。
その結果、営業が会う段階では、
- 課題は理解済み
- 興味関心は確認済み
- あとは条件のすり合わせ
という「商談前提」の状態を作ることができます。
まとめ:プロの営業は「商談」に時間を使う
B2B製造業において、面談は必要不可欠です。
しかし、利益を生むのは商談です。
- 面談で信頼を築き、課題を明確にする
- 商談で未来を描き、決断を後押しする
今この時間は、
情報交換なのか、意思決定なのか。
それを意識するだけで、営業活動の質は劇的に変わります。




