
製造業BtoBのマーケティングと売上対策の、いちばん幸せな関係
売上が落ちてくると、
製造業BtoBの現場では、だいたい同じことが起きます。
「そろそろ過去リードに電話しよう」
「展示会名刺、もう一回掘り起こせない?」
「とりあえずリストを回そう」
これは特別な話ではありません。
むしろ、真面目に売上と向き合っている会社ほど、必ず通る道です。
ただし、ここにはひとつ大きな落とし穴があります。
「今すぐ案件を作ろう」とすると、だいたい失敗する
売上が下がり、
営業の手が空き始めたとき。
「何か打たないとまずい」
そう思うのは当然です。
そこでよく選ばれるのが、
- コールドリードへの架電
- しばらく動きのない休眠ユーザーへのフォロー
- 数年前の展示会名刺の掘り起こし
いわゆる「アウトバウンドを強める」という判断です。
ですが、ここで“すぐに案件化すること”を期待してしまうと、ほぼ確実に噛み合わなくなります。
なぜか。
それは、
営業が悪いからでも、トークが弱いからでもありません。
単純に、
「判断材料がない状態で、動かされている」からです。
案件は「あるところ」にしか生まれない
いつも言っていることですが、
案件は、いつも同じところにしかありません。
・すでに課題を自覚している
・情報収集を始めている
・社内でテーマとして上がっている
こうした状態にある見込み客です。
逆に言えば、
- 何に困っているかも分からない
- 今は忙しくて考えていない
- 情報を集める段階にもいない
こうした相手に、
「今すぐ案件化」を期待すること自体が、そもそも無理筋です。
にもかかわらず、
売上が落ちると、ここに手を出してしまう。
これは現場の判断ミスではなく、構造の問題です。
マーケティングが「売上対策」だと理解されていない
多くの製造業BtoBでは、
- マーケティング=集客
- 売上対策=営業の仕事
こう切り分けられています。
その結果、
- マーケは日々コンテンツを作る
- 営業は売上が足りなくなったら動く
という、時間軸がズレた状態が生まれます。
本来、売上対策は
「売上が落ちてから始めるもの」ではありません。
売上が落ちた“その瞬間に動ける状態を、事前に作っておくこと”
これが、本当の売上対策です。
売上対策の正体は「日々の反応の蓄積」
日々のマーケティング活動の中で、
- どんなテーマに反応したか
- どの記事・資料を読んだか
- どの製品カテゴリに興味を示したか
- どの段階で離脱したか
こうした小さな反応を、ただ蓄積していく。
重要なのは、
これを「今すぐ売るため」に使わないことです。
「仮説を立てるための材料」として貯めておく。
これだけで、
売上が落ちたときの打ち手は、まったく変わります。
売上が落ちたとき、やるべきは「掘り起こし」ではない
売上が低下し、営業の手が空いたとき。
やるべきなのは、
- 片っ端から電話すること
- 休眠リードを均等に当たること
ではありません。
やるべきなのは、
- 特定のテーマに反応していた層
- 過去に強い関心を示していた業界
- 最近、情報接触が増えている見込み客
こうした「温度が上がりかけている塊」を、まとめてアタックすることです。
ここではじめて、
アウトバウンドが意味を持ちます。
リードの「閾値」を調整する、という考え方
ここで重要になるのが、
リードの閾値(しきいち)をどう設定するかです。
売上が好調なときは、
- かなり温度が高い
- 案件化確度が高い
こうしたリードだけを追えばいい。
一方で、売上が落ちてきたときは、
- 少し反応があった
- テーマに関心を示した
このレベルまで、閾値を下げていく。
ただし、
これは「闇雲に数を増やす」という意味ではありません。
**「反応という根拠を持ったアウトバウンド」**に切り替える、ということです。
営業が動けるかどうかは、事前に決まっている
売上が落ちてから、
「営業、もっと動いて」
「何か案件作れない?」
こう言っても、
実はその時点で勝負はほぼ決まっています。
なぜなら、
- 何に興味があるのか分からない
- 今どんなフェーズか分からない
- どんな切り口が刺さるか分からない
この状態で動く営業は、
どうしても「数を当たる」しかなくなるからです。
営業が動けるかどうかは、日々のマーケティングで決まっている。
これは、精神論ではありません。
売上対策とは「未来のための準備」
売上対策というと、
- 即効性のある施策
- 目先の数字を作る動き
を期待しがちです。
ですが、製造業BtoBでは、
それがそのまま成果につながるケースは稀です。
本当に効く売上対策は、
- 日々の反応を蓄積し
- 仮説を作り
- いつでも動ける状態を維持する
この地味な積み重ねです。
派手さはありません。
ですが、いざという時に、最も差が出る部分でもあります。
売上は、日々のマーケティングの延長線上にある
まとめると、
製造業BtoBにおける売上対策とは、
- 売上が落ちてから考えるものではない
- 営業だけで完結するものでもない
日々のマーケティング活動の延長線上にあるものです。
反応を溜める。
仮説を立てる。
温度が上がった塊を見極める。
その準備ができていれば、
売上が落ちた瞬間に、
「打てる手」は自然と見えてきます。
つまり、
売上対策とは、日々の積み重ねそのもの。
これが、製造業BtoBマーケティングと売上の、
いちばん幸せな関係だと思っています。




