
調子がいいときほど、KPIで分解しなければならない理由 ―製造業BtoBマーケティングで「一番もったいない瞬間」とは
売上が伸び、問い合わせも増え、
社内から「最近、調子いいですね」と声をかけられ始める。
数字だけを見れば、何の問題もありません。
むしろ、マーケティングがうまくいっている状態です。
それなのに、
なぜか頭の片隅に引っかかる感覚が残ることがあります。
「これって、なぜうまくいっているんだろう」
「同じ状態を、半年後も再現できるだろうか」
多くの製造業BtoBマーケティングの現場では、
この違和感に明確な答えが出ないまま、
日々の業務に流されていきます。
忙しい。
手が回らない。
今はそれどころじゃない。
そうして時間が過ぎ、
気づいたときには、
“調子がよかった理由”は誰にも説明できなくなっている。
実はこの状態こそが、
マーケティングにおいて
最も価値のある機会を逃している瞬間なのです。
なぜ人は「調子が悪いとき」だけ分析するのか
マーケティングのKPI分析というと、
多くの場合は「うまくいっていないとき」に行われます。
- 問い合わせが減った
- 展示会の成果が出なかった
- Webからの反応が鈍い
こうした状況になると、
ようやく数字を見始め、原因を探し始めます。
しかしこのときの分析は、
往々にして次のような状態に陥ります。
- 仮説が後付けになる
- 担当者や施策の責任論になりやすい
- 何が悪かったのか、断定できない
つまり、
「うまくいかなかった理由」を探す分析は、
精度が低くなりがちなのです。
調子がいいときは、ノイズが少ない
一方で、売上が伸びているとき。
問い合わせが増えているとき。
来場者の反応が明らかに良いとき。
このタイミングには、
分析において非常に大きなメリットがあります。
それは、
成功要因以外のノイズが少ないということです。
- 何となく当たった施策
- 偶然うまくいった導線
- 担当者の個人的な勘
こうした要素はゼロではありませんが、
全体としては「うまくいっている理由」が
数字として浮かび上がりやすい状態になります。
つまり、
KPI分解に最も向いているのは、調子がいいときなのです。
製造業BtoBマーケで見るべきKPIは「売上」ではない
ここで重要な前提があります。
それは、売上そのものはKPIに向いていないということです。
売上は結果です。
しかも、直接コントロールできません。
製造業BtoBマーケティングで分解すべきなのは、
売上の手前にある「行動」と「体験」のKPIです。
たとえば、展示会やWeb施策であれば、
次のような指標が考えられます。
- 立ち止まり率
- デモ体験率
- 回遊率(複数コンテンツ接触率)
- 滞在時間
- 再訪率
- 問い合わせ転換率
これらはすべて、
「設計によって変えられる数字」です。
調子がいいときにKPIを分解すると、何が見えるのか
売上が伸びている状態でKPIを分解すると、
意外な事実が見えてくることがあります。
たとえば、
- 技術資料はあまり見られていない
- しかし参加型デモの体験率だけが突出して高い
- 営業が推した製品より、別の展示がCVしている
- 説明よりも「操作できた体験」が評価されている
これらは、
売上が落ちてから数字を見ても、ほとんど気づけません。
なぜなら、
調子が悪いときは「全体が下がっている」からです。
製造業が本来得意なはずのこと
ここで少し視点を変えてみます。
製造業の現場では、
「うまくいった条件」を徹底的に記録し、再現します。
- なぜこの加工条件で品質が安定したのか
- どの工程がボトルネックだったのか
- 再現性のある条件は何か
しかしマーケティングになると、
なぜかこれをやらなくなります。
売れた理由を構造化せず、
「今回はたまたま良かった」で終わらせてしまう。
これは、
製造業にとって本来とても不自然な状態です。
調子がいいときにやるべきなのは「改善」ではない
誤解されがちですが、
調子がいいときにやるべきことは改善ではありません。
やるべきなのは、
勝ちパターンの保存です。
- どの導線で
- どの順番で
- どんな体験をすると
- 次の行動に進むのか
これをKPIで分解し、
設計図として残す。
この作業をしておけば、
次に同じ成果を狙うとき、
ゼロから考える必要がなくなります。
調子がいいときに分析しなかった会社の未来
調子がいいときにKPIを分解しなかった会社は、
次のような状態に陥りがちです。
- 成果が属人化する
- 担当者が変わると再現できない
- 売上が落ちてから慌てて原因を探す
- しかし、何が良かったのか分からない
一方で、
調子がいいときに構造を残した会社は違います。
- 成果を仕組みにできる
- 展示や施策をテンプレート化できる
- 次の施策設計が速くなる
これは、
短期の売上以上に大きな差を生みます。
まとめ:一番価値があるのは「うまくいっている今」
マーケティングにおいて、
最も価値のあるデータは、
「失敗したとき」ではありません。
うまくいっているときの行動データです。
調子がいいときほど、
忙しさに流されてしまいがちですが、
その瞬間こそが、未来の売上を作る材料になります。
売上が伸びている今、
あなたの会社では
「なぜ伸びているのか」を説明できますか。
もし答えに詰まるなら、
それはKPIで分解するタイミングが来ている
というサインなのかもしれません。





